ガバナンスと開発をめぐる5つの神話

ガバナンスと開発をめぐる5つの神話
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開発政策の一部の分野では、根深い思い込みを覆すのは非常に難しい。SFに登場するアンドロイドや、何度倒してもよみがえる多頭のヒュドラのように、致命的な打撃をいくつ受けても再生できる怪物である。圧倒的な証拠を携えた有能な研究者でさえ、彼らを脅かすことはできない。

開発にとって良いガバナンスが重要だというのも、そうした思い込みの一つだ。英国議会の国際開発委員会が先月公表した、 「議会機能の強化」 に関する調査報告書を見てみよう。同報告書は、 国連ハイレベルパネル の見解を引用し、「良いガバナンスと効果的な制度」が、2030年までに世界の貧困を終わらせるための目標に含まれるべきだとしている。しかし、2012年に発表された、厳密な調査に基づく国連刊行物、 『良いガバナンスは開発にとって良いのか?』

ガバナンスに関する5つの神話を紹介しよう。強固な科学的コンセンサスが、いずれ怪物を退治するかもしれない。

1. 良いガバナンスは開発にとって重要である。 これが、公的業務の透明性、権力を持つ者の市民に対する説明責任、市民が要求を行う能力、汚職の不在、企業活動の自由、確かな財産権、法の支配など、望ましい理念の大規模な集合が開発の成功に必要な条件だという意味なら、答えは明らかにノーだ。

17世紀のイングランドから21世紀の中国やベトナムに至る人類の進歩の歴史は、この点を明確に示している。ガバナンスの理念は経済発展を背景に時間をかけて実現するのであり、その逆ではない。

2. ガバナンス改善は、開発改革の有効な出発点である。 この当然の帰結は一見、より擁護しやすそうだが、そうではない。あらゆる経験が示すように、制度や社会規範は、良くてもゆっくりとしか変化しない。援助に支えられた制度改革は、 「能力の罠」や、見せかけだけの改善を生みがちであることが、十分に記録されている。とりわけアジアの過去半世紀の歴史は、機能不全が著しい制度の下でも、経済の変革と人々の福利において非常に大きな進歩を実現できることを示している。改革の取り組みは、手元にあるあらゆる手段を使って、こうした進歩を再現することを目指すべきだろう。

そのように主張してきたのが、 マット・アンドリュースとその同僚たち である。改革は課題を起点とし、適切な解決策を見つけることを目指すべきだ。政府が変革にほとんど協力する意思を示さない場合でも、 問題解決型の適応的な手法が機能し得ることを示す証拠が増えている。対照的に、援助機関の「ガバナンス・プログラム」は、定義上ほぼ必然的に、課題を起点とする改革という考え方に反する。 最善の場合でさえ、解決策はあらかじめ決められている。

これほど多くの開発改革の取り組みがガバナンスの狭い領域から抜け出せないでいることは、政策が証拠を無視する力の強さを物語っている。それでも証拠は増え続けている。 「アフリカにおける開発体制の開始と持続(DRA)」の統合報告書 も、新たな研究を踏まえて神話を打ち破り続けている。DRAの前身である「開発の追跡」は、今日、東南アジア諸国が同程度のアフリカ諸国よりはるかに豊かになった理由は、ガバナンスの良し悪しではなく、 政策上の優先順位、とりわけ農業に関するものであることを決定的に示した。これを踏まえ、DRAの統合報告書は、中間レベルのガバナンスに関する3つの神話に取り組んでいる。

3. 高水準の透明性、説明責任、参加、競争が経済発展を持続させる。 国際開発委員会の報告書では、この見解は世界銀行のものとされている。しかし、 ティム・ケルサル は、指導者交代に直面した場合の経済成長の持続性に関する比較証拠を検討した。その結果、特定の種類の制度的要因、すなわち合意形成型の意思決定の伝統を持つ支配政党の有無が、プラスの効果をもたらすことが分かった。同様に大きな意味を持つ要因は、タイの公務員制度の強さだけだった。英国首相 デービッド・キャメロンの言う「黄金の糸」である自由民主主義的なガバナンス理念への準拠は、説明要因として何の役割も果たしていないようだった。

4. 冷戦が終わったため、東南アジアの農業に関する教訓は他の地域に適用できない。 インドネシア、マレーシア、タイ、ベトナムのような国々が農村の生活水準向上を最優先したのは、共産主義者に動員された農民がもたらす脅威のためだった、という有力な見方がある。もっともらしいが、どうやら誤りのようだ。 デービッド・ヘンリー と ヘルミー・フアディ の研究は、この見方が既知の事実と一致しないことを示した。そこから導かれることは何か。アフリカで優勢な政策上の偏見と、今こそ積極的に闘う時だ。 思想は重要だ。 アフリカの開発についての誤った考えから政策エリートを揺さぶり目覚めさせる外的ショックを、待つべきではない。

5. アフリカの政権は、課題を起点とした適応的な開発を実現できない。 決定的な反証を示すには時期尚早かもしれないが、試みるべきなのは確かだ。DRAのために、デービッド・ブースと フレッド・ゴローバ=ムテビ は、今日のアフリカにおいて何を開発志向型の政権とみなすべきかを調査した。 ローラ・ラウトリーの着想を受け、韓国と台湾を基準にした狭い議論から抜け出し、現在利用できる幅広い比較証拠を活用しようとした。結論は何か。開発志向型の政権は、3つのレベルで概念化すべきである。政策(経済、とりわけ農業の変革に本気で取り組んでいるか)、政策過程(解決策を積極的に探しているか)、政治的合意(現行の合意が良い政策形成を可能にしているか)だ。これらの要素を整えようと懸命に取り組む国の指導者もおり、国際的な支援はそれを反映すべきである。

この記事は当初、 世界銀行のブログ「People, Spaces and Deliberation」 に掲載された。掲載は、世界経済フォーラムが見解を支持することを意味しない。

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著者:デービッド・ブースは現在、DFIDとアイルランド援助庁の支援を受けるコンソーシアム型研究事業、アフリカ権力・政治プログラムのディレクターを務める。

画像:男性が携帯電話で話しながら、グランド・セントラル・ターミナルの中央に立っている。REUTERS/Zoran Milich。

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