東アジアから学ぶ、信頼構築の5つの教訓

東アジアから学ぶ、信頼構築の5つの教訓
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長年にわたり、活力に満ちたダイナミックな東アジアは、低成長から失業に至るまで、欧州や北米を悩ませてきた問題とは無縁に見えていた。2015年の平均成長率は7%を上回ると予測されており、東アジアは今なお世界で最も成長が速く、人口も最も多い地域である。

中国、韓国、日本といった世界的な大国に加え、ミャンマーからインドネシアまでの新興経済国も、この地域を代表する存在だ。しかし、際立って成功を収めてきたこの地域でさえ、政治的、社会的、経済的な緊張の影響を受けている。緊張を和らげ、繁栄への道を確かなものにする鍵は、信頼である。

信頼を築き、取り戻し、維持する方法が、インドネシアのジャカルタで4月19日から21日まで開催される 第24回世界経済フォーラム東アジア会議 の中心議題となる。同会議には、地域や国境を越えた多様なグローバル企業・地域企業、政策立案者、市民社会組織から 700人を超える参加者 が集い、「東アジアの新たな地域主義に信頼を根付かせる」をテーマに議論する。

「 新たな地域情勢」という視点から、指導者たちは、来るASEAN経済共同体を背景に地域協力の強化に寄せる期待と、地域主義や繁栄の共有に向けた進展を損ないかねない地政学的緊張への警戒とのバランスを探る。

「 新たな経済情勢 」を掲げる議論では、地域の経済成長における機会と混乱要因を探る。超接続性と技術革新が企業と消費者を結びつける新たな方法をもたらす一方、環境面・社会面の持続可能性は、将来の経済的成功に欠かせない前提条件となる。

「 新たな市民の情勢 」に関わる幅広い重要課題を取り上げ、参加者は、公共部門と民間部門の機関に対する信頼を新たにし、短期および長期の課題に取り組むために政府と企業の対話を改善する必要がある差し迫った社会課題について、解決策の可能性を特定し共有する。

今年の議論の多くは ライブ配信で視聴でき 、こうした重要な議論への回答や反応も歓迎される。海洋をめぐる紛争から森林破壊まで、地域の複雑な問題に取り組むため、東アジアから学ぶ信頼構築の5つの教訓を紹介する。

近隣諸国を信頼する方法を学ぶ

世界経済フォーラムの最新の 『グローバルリスク報告書』によると、国際紛争は現在、環境リスクや経済リスクを上回り、世界の安定に対する最大の脅威とみなされている。東アジアもこのリスクと無縁ではない。地域の成長は引き続き堅調だが、だからといって地政学的緊張に対する油断を招いてはならない。南シナ海をめぐる中国と東南アジアの摩擦や、中国と日本の難しい関係などがある。こうした緊張は、エネルギー価格の上昇や貿易紛争を通じて、成長に直ちに影響を及ぼす可能性がある。何しろ、 中国は多くの近隣諸国にとって最大の貿易相手国なのだ。

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協力を恐れない

地域の関係者が協力すれば、その共同の取り組みが信頼と繁栄の好循環を生み出すことがある。その代表例が、東南アジア諸国連合(ASEAN)だ。加盟国の指導者たちは、2015年末までにASEAN経済共同体(AEC)を発足させ、10か国からなる共通市場を形成することを目指している。その人口は6億人を超える。地域としてのASEANはインドや中国を上回る速さで成長しており、統合によって外国人投資家と地域の投資家に単一市場へのアクセスを提供すれば、さらなる成長が促される。人、資本、物品、サービスの自由な移動を段階的に認めるほか、教育などの分野でも協力する計画だ。経済圏としてのASEANは世界第7位の経済規模となり、成長傾向が続けば 2050年までに第4位となる可能性がある。

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人々と話す

信頼をめぐる対話の舞台として、インドネシア以上にふさわしい場所があるだろうか。

最近選出されたインドネシアのジョコ・ウィドド大統領、通称ジョコウィは、信頼構築を体現している。インドネシアの若い民主主義の歴史において、軍・政界・財界のエリート層出身ではなく、市長としての成功と一般市民からの人気を通じて権力の座に就いた初の大統領である。貧しい地域や路上市場を予告なしに訪れ、住民、買い物客、店主に懸念を尋ねることをトレードマークとしており、それは大統領就任後も続いている。昨年の選挙直後、スラウェシ島東部のカカオ農園を訪問した際には、収穫量を増やす方法について農家と話すため、 地面にしゃがみ込んだ 。

政治家と人々の間の隔たりをなくせば、具体的で目に見える利益がもたらされることがある。インドネシアでは、ジョコウィ大統領は政府の燃料補助金を撤廃できた。これは難しい改革であり、世論の反発を恐れて世界の多くの指導者が避けてきたものだ。大統領は、なぜ改革が必要なのか、そして削減された支出を教育やインフラにどう投資するのかを国民に説明した。重要なのは、国民がそのメッセージを信頼したことだ。

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経済成長の中心に信頼を据える

成功した経済圏であっても、特に若者が自分たちの懸念は無視されていると感じる場合、信頼の欠如は存在する。街頭抗議によって香港は機能停止に陥り、タイでは戒厳令が敷かれた。成長だけでは安定を保証できず、社会的不平等や分断を深めることさえある。繁栄を共有するための確かな基盤を築くには、成長の物語に信頼を根付かせなければならない。

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信頼が育つ環境をつくる

対話は常に世界経済フォーラムの中心にある。異なる関係者を一堂に集めることで、前向きな変化への道が開ける。多様な利害関係者が互いに関わり合える環境づくりは、公開の場で対立相手に働きかけることが弱さの表れと受け取られかねず、リスクを伴うため、いっそう重要である。

しかし、交渉が成功すれば、全員がより強くなってその場を後にする。インドネシアでは、パーム油生産による熱帯雨林の破壊を食い止めるため、対話が活用された。環境活動家、生活の糧を失うことを恐れる焼畑農家、パーム油生産者、そして発生した煙への対応を迫られたシンガポールやマレーシアなどの近隣諸国の間では、妥協はほとんど不可能に思われた。それでも、こうした異なる利害の間から、森林破壊の終結を目指す「熱帯林同盟2020」が設立された。

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ますます緊密につながり、集団でしか対処できない課題を抱える世界において、信頼の問題を軽視できる国も企業もない。だからこそ、希望と活気をもって未来を見据えるエキサイティングな地域、東アジアで開催される今年のフォーラムで、信頼を築く実りある対話が数多く行われることを楽しみにしている。

2015年世界経済フォーラム東アジア会議 は、4月19日から21日までインドネシアのジャカルタで開催される。

著者:スシャント・パラクルティ・ラオは、世界経済フォーラムのアジア太平洋地域統括シニアディレクター。

画像:2014年12月8日、ジャカルタのムアラ・バル港で、作業員が木造船の上を歩く。REUTERS/Beawiharta

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