2023年はサイバーセキュリティ関連のニュースが多い年であり、史上最大規模の分散型サービス妨害(DDoS)攻撃が発生した年でもありました。
2023年にAgendaで取り上げられた主要なサイバーセキュリティ関連のニュースをご紹介します。
1. 米国の国家サイバーセキュリティ戦略
2023年3月、ジョー・バイデン大統領は新たな国家サイバーセキュリティ戦略を発表しました。この戦略は、米国政府がサイバー空間をどのように保護し、防御しやすく、誰にとっても安全なレジリエントなデジタル・エコシステムをどのように構築しようとしているかを示すものです。
この戦略は、サイバーおよびテクノロジーのガバナンスを強化するためのバイデン政権によるより大規模な取り組みの一環です。これまでの取り組みには、次のような内容が含まれています。テクノロジー企業の説明責任の強化、プライバシー保護の強化、オンライン上の公正な競争の確保。
世界経済フォーラムの『グローバルリスク報告書2023』では、サイバー犯罪とサイバー上の脆弱性が、影響の深刻度の観点から、短期(今後2年間)と今後10年間の双方において、第8位の大きなリスクとして挙げられました。
2. 「オペレーション・クッキー・モンスター」
世界最大級の違法なオンライン市場の一つである「Genesis Market」は、2023年に、十数か国を超える国際的な法執行機関が関与した警察の作戦により閉鎖されました。
「オペレーション・クッキー・モンスター」により、数十万件に上る盗まれた身元情報およびオンラインアクセス用の認証情報が押収されました。当局者によると、FBIとオランダ国家警察が取り締まりを主導し、世界中で100人以上が逮捕されました。これは世界のサイバー犯罪対策にとって大きな打撃となりました。
このプラットフォームは、開設以来、世界中の150万台以上の侵害されたコンピューターから、8,000万以上のアカウントにアクセス用の認証情報を提供してきました。これには、盗まれた数千件の認証情報が含まれており、その多くは「オペレーション・クッキー・モンスター」がサイトを閉鎖した時点で、46万台以上のコンピューター機器から盗まれ、販売のために掲載されていたものです。
「オペレーション・クッキー・モンスター」はどのようにして主要なダークウェブ市場を閉鎖したのか。
3. 忘れられる権利
デジタル化が進む世界では、デジタルの足跡が驚くほど長く残り、人々が インターネットから忘れてほしいと望む情報も残ってしまいます。
個人情報をインターネットから削除するよう要請する権利を認める考え方は、2023年にカナダの裁判所が、同国の市民はGoogleの検索結果において「忘れられる権利」を有すると認めたことで、再び大きな話題となりました。Google検索における「忘れられる権利」。
しかし、この権利はどこでも認められているわけではなく、認められている場合でも、組織は必ずしも削除の要請に応じる必要があるとは限りません。
この法律により、コンテンツの頻繁かつ広範な削除が行われ、検閲や精査の回避に利用される恐れがあるとの懸念が示されています。
忘れられる権利の仕組みと、関連法制の最新動向はこちらでご確認いただけます。
世界経済フォーラムは、高まるサイバーセキュリティ上の課題にどのように取り組んでいるのでしょうか。
サイバーセキュリティセンターは、進化するサイバーリスクとそのシステム的な影響を理解するため、リーダーが集う信頼できるプラットフォームを提供しています。相互に結びつきを深めるデジタル社会において、理解と信頼の醸成に重点を置いています。
セクターを超えた協働と知見の共有を可能にすることで、同センターはパートナーがサイバーレジリエンスを強化し、集団的な対応を必要とする課題に取り組めるよう支援しています。
4. 史上最大のDDoS攻撃
10月にはまた、史上最大規模の分散型サービス妨害(DDoS)攻撃が発生しました。GoogleやAmazonを含むインターネット企業は、サイバーセキュリティ対策が強化されない限り、この種の攻撃が広範な障害を引き起こす可能性があるとユーザーに警告しました。
DDoS攻撃は、偽のデータ要求で大量の負荷をかけることでウェブサイトに接続できなくする攻撃であり、新しいものではありません。しかし、ますます高度化し、破壊的になりつつあります。
世界経済フォーラムの『グローバル・サイバーセキュリティ見通し2023』は、地政学的な不安定化、サイバー攻撃を増幅させ得るAIの登場、サイバーセキュリティの専門知識の不足が収斂していることを、こうしたサイバーリスクの要因として指摘しています。
インターネット企業は史上最大のDDoS攻撃にどのように対処しているか。
5. 迫りくるサイバーストーム
「迫りくるサイバーストームがある」と、オックスフォード大学サイバーセキュリティ教授のセイディ・クリース氏は、スイス・ダボスで開催された世界経済フォーラム2023年次総会でのインタビューで述べました。「このストームは発生しつつあり、その規模がどれほどになるかを予測するのは非常に困難です。」
フィッシング、ランサムウェア、DDoS攻撃などのサイバー攻撃は増加しています。米国の主要なサイバーセキュリティ企業であるCloudflareは、Fortune 500企業の30%以上に保護サービスを提供しており、DDoS攻撃が2022年に前年比79%増加したことを明らかにしました。
こうした状況を受け、11月には「サイバーセキュリティに関する年次総会2023」が開催され、企業、政府、国際機関、市民社会、学術界から、世界有数のサイバーセキュリティのリーダー150人以上が集まり、サイバー空間をより安全でレジリエントなものにするための協力を推進しました。
ダボス2023の専門家、迫りくる「サイバーストーム」への世界的な対応を呼びかける。
6. サイバーセキュリティ人材の不足
今日の世界経済を支えるためには、世界は340万人のサイバーセキュリティ専門家を必要としていますが、各産業はその不足を埋めることに苦慮しています。
世界経済フォーラムの『グローバル・サイバーセキュリティ見通し2023』報告書によると、ビジネスリーダーの59%とサイバーリーダーの64%が、サイバーレジリエンスを管理する上で重要な課題として、人材の採用と定着を挙げています。
また、スキル不足を報告した産業は、主にエネルギーや公益事業などの重要インフラ産業でした。
人材ギャップを埋めるために、対応が必要な3つの主要分野をご紹介します。
