セキュリティ事案の件数と複雑さが増すなか、世界のサイバーセキュリティ人材には、多様性の向上、研修の充実、サイバーセキュリティ分野でのキャリアへの道筋づくりが求められています。
サイバーセキュリティ分野で最も大きなスキル不足は、ソフトスキルの研修とクラウドコンピューティングの知識です。
無料の人材育成プログラムにより、何百万人もの人々がサイバーセキュリティ分野で働くために必要なクラウドコンピューティングのスキルを身につけられるようになっています。
クラウドアーキテクチャやソフトウェア開発などの高度なデジタルスキルは、世界のGDPに年間6.3兆ドルをもたらすと推定されています。
サイバーセキュリティは、今日あらゆる業界が直面する複雑で変化の激しい課題です。物理面とデジタル面のセキュリティ事案が増加するなか、絶えず変化する状況に対処するために必要なチームやリソースへの投資には、新たなアプローチが求められています。サイバーセキュリティの職務を担う人材を確保するとともに、世界の労働力全体でセキュリティ研修を受ける機会を増やすには、多様な背景を持つ専門人材がさらに必要です。
サイバーセキュリティの専門人材は、将来の労働力として必要とされているだけではありません。現在、すでに何百万もの求人が人材を求めています。たとえば、サイバーセキュリティの空席を埋めるため、世界では人材が340万人不足しています。一方、米国では、企業や顧客、インフラを守るためのサイバーセキュリティ関連求人が70万件を超えています。
サイバーセキュリティ職の採用が難しいのはなぜでしょうか。ISACAの調査によると、サイバーセキュリティ分野で最も大きなスキル不足は、ソフトスキルの研修とクラウドコンピューティングの知識です。
ソフトスキルの育成
セキュリティ分野で一般に求められる専門的な技術スキルと同じくらい、ソフトスキルも重要です。ISACAの調査によると、コミュニケーション、柔軟性、リーダーシップに関するソフトスキルは、サイバーセキュリティ専門家が挙げた最も大きなスキル不足です。
サイバーセキュリティ人材の供給体制を整え、現在の求人を満たすには、そうしたソフトスキルを発揮できる多様な背景を持つ専門人材を採用する必要があります。マッキンゼーによると、企業は採用候補者を探す情報源を増やすなどの戦略を通じて、より多様な候補者を見つけ、定着させることができます。また、協働による問題解決についてリーダーを教育し、キャリアアップに関する方針を見直して従来の障壁を取り除くことで、より包摂的な職場文化を築くべきです。
クラウドコンピューティングのスキル研修
ISACAの調査で示された2つ目のスキル不足は、クラウドコンピューティングに関するものです。ISACAは、回答者が自組織で最も必要としているセキュリティスキルとして、クラウドコンピューティングを挙げました。
アマゾン ウェブ サービス(AWS)は、学びたいと願う誰もがクラウドコンピューティング分野で活躍できるよう、必要なツールを利用できる機会を提供したいと考えています。サイバーセキュリティを含むクラウドコンピューティング分野でキャリアを伸ばすために必要なスキルを、より多くの人が身につけやすくなるよう、大規模な投資を行っています。Amazonは、2025年までに世界で2,900万人にクラウドコンピューティングのスキル研修を無料で提供するため、数億ドルを投資しています。
世界各地の経済を支える
この取り組みを発表してからの2年間で、AWSは無料の人材育成プログラムを通じて、1,300万人を超える人々がクラウドコンピューティングのスキルを身につける機会を得られるよう支援しました。これは、前年に支援した人数の2倍を上回ります。この取り組みには、3つの新たな研修施策が含まれます。ウクライナの人々の労働市場への復帰を支援すること、中堅レベルのクラウド分野のキャリアに向けてIT従事者のスキルを再習得させること、そしてバージニア州アーリントンに新設された対面式のAWS Skills Centerを通じて、技術スキルが限られている人々に学習機会を提供することに重点を置いています。
クラウドコンピューティングのスキル育成への取り組みは、世界各地の個人と経済にとって重要です。GallupとAWSによる新たな調査によると、クラウドアーキテクチャやソフトウェア開発などの高度なデジタルスキルは、世界のGDPに年間6.3兆ドルをもたらすと推定されています。
多様な視点は、サイバーセキュリティ人材の育成におけるイノベーションを促します。
CJ Moses、最高情報セキュリティ責任者、アマゾン ウェブ サービス
(AWS)
調査結果によると、デジタルスキルを高度に活用している企業の年間売上高は、デジタルスキルを活用していない企業に比べて約168%高いと報告されています。また、過去1年間にデジタルスキル研修を受けた人の98%が、賃金の上昇、仕事への満足度の向上、雇用の安定に対する強い安心感を通じて、キャリアに良い影響があったと答えています。
セキュリティを最優先する意識の醸成
ソフトスキルの育成やクラウドコンピューティングの研修に加え、組織は全従業員のサイバーセキュリティ研修を強化することで、セキュリティ上の脅威から身を守ることができます。セキュリティ事案では、ソーシャルエンジニアリングやフィッシングの手口を通じて、人の行動が狙われることがよくあります。業界や職種を問わず、一人ひとりへのサイバーセキュリティ研修を強化することで、組織は、役割や職位にかかわらず、セキュリティを全員の仕事の一部とする文化を育むことができます。
Amazonは、サイバーセキュリティの重要性と、オンラインで自分を守るために自ら行動できることを、より多くの人に知ってもらうための支援をしています。たとえば、サイバーセキュリティ意識向上トレーニングを世界中の個人や企業に無料で提供しています。また、Amazonと全米サイバーセキュリティ・アライアンスは最近、サイバーセキュリティ意識向上キャンペーン「Protect & Connect」を開始しました。
このキャンペーンでは、俳優のマイケル・B・ジョーダンと、俳優兼プロデューサーのテッサ・トンプソンが「インターネットのボディーガード」として登場する、親しみやすい動画を公開しています。また、消費者向けのマイクロサイトprotectconnect.comも設け、フィッシングの手口を見分けて回避する方法などを扱う動画を掲載しています。
サイバーセキュリティ人材の供給体制を構築する
産業界は、今日の労働力のサイバーセキュリティスキルを高め、サイバーセキュリティ分野のキャリアへの道筋を増やすうえで重要な役割を担います。一方、世界のサイバーセキュリティ人材を育成するには、地方・国の政府、非営利団体、学術界を含む公共部門のリーダーとの連携も必要です。政府は、公共部門と産業界が協力できる場を設け、連携を促すべきです。多様な視点は、サイバーセキュリティ人材の育成におけるイノベーションを促します。
セキュリティ上の脅威が増え続けるなか、今日の労働力にソフトスキル、クラウドコンピューティング、セキュリティ意識に関する研修を行うことで、脅威により適切に対処できるようになります。公共部門と産業界の関係者も協力し、サイバーセキュリティ分野のキャリアへの道筋をさらに増やすべきです。力を合わせれば、世界のサイバーセキュリティ人材を育成し、セキュリティを最優先する意識を強め、世界をより安全にすることができます。

