サイバーセキュリティリーダーが直面する4つの重要課題

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  • あらゆる製品やシステムにサイバーセキュリティを組み込む必要があります。

  • これを実現するには、ビジネスリーダーが4つの課題に取り組まなければなりません。

  • これらの課題を克服すれば、真に保護されたデジタル世界を実現できます。

今日のビジネスや社会では、サイバーセキュリティを後付けで付加することに、あまりにも多くの注意が向けられています。「セキュリティ対応」の製品や「セキュリティ強化」などが求められています。しかし、サイバーセキュリティは単なる追加機能であってはなりません。むしろ、構想された時点から、あらゆる製品やシステムに組み込まれていなければなりません。そのような統合を実現するには、リーダーシップに関わる4つの根本的な課題に取り組む必要があります。

1)リアルタイムの情報共有

デジタル世界の変化の速度は、今も指数関数的に増しています。その速度に追いつくには、サイバー犯罪者が攻撃を仕掛ける前に、セキュリティの専門家が脅威やセキュリティ上の弱点に迅速に対処しなければなりません。効果的なサイバーセキュリティ戦略の基盤はスピードです。サイバーセキュリティシステムは、インターネットトラフィックの速度と量の増加に追いつかなければなりません。対応の速さも極めて重要です。サイバーセキュリティの問題への対処には、あまりにも長い遅れが生じがちです。犯罪者はその隙を利用できますし、実際に利用しています。

しかし、迅速に動くには状況を把握する必要があります。素早く行動するため、脅威情報をほぼリアルタイムで共有しなければなりません。サイバー犯罪に国境はありません。デジタル技術によって深く結びついた世界では、サイバーセキュリティと世界の安全保障は同じものです。官民を問わず、単独の組織がサイバー空間全体を完全に把握することはできません。パズルのピースをつなぎ合わせるため、幹部は組織間で情報を共有するよう求めるべきです。そうしなければ、何が起きているのか分からないままになります。

2)サイバーセキュリティにおける幅広い協力

効果的なサイバーセキュリティには、広く深い協力が不可欠です。協力によって善意ある人々が集合知を築き、迅速に学びながら、能力と対応力を絶えず高められます。組織や国家が互いから学ばなければ、同じ攻撃によって数え切れないほどの組織が不必要に被害を受けることになります。

幅広い協力とは、サイバーセキュリティをめぐるより大きな議論にすべての人を参加させることです。深い協力とは、誰もがより多くを学べるようにし、業務システムの一部となる知識の蓄積基盤を築くことです。それには、脅威インテリジェンスの共有に向けた協力や、教育に関する協力が含まれます。

サイバーセキュリティの重要性とその根本的な役割について語り、教育を共有する機会を増やすほど、私たちが必要とする次世代のサイバーセキュリティ専門家を育成し、支えることができます。ハッカーやマルウェア、データ侵害による損害額は、2021年までに6兆ドルに達すると予測されています。こうした課題にリーダーが取り組めるようにするには、官民双方の技術専門家と意思決定者が協力しなければなりません。それには時間がかかります。幹部は、こうした協力に費やす時間には十分な価値があると明確に示すべきです。

協力すれば、目に見える成果をすぐに得られる可能性があります。マルウェアの92%以上は電子メール経由で送信されます。適切な啓発活動や方針を設け、実践において注意を徹底すれば、根付いた行動を改める新しいスキルを教えるだけで、マルウェアの90%以上を排除できるでしょう。

サイバーセキュリティに関して、世界経済フォーラムはどのような取り組みを行っているのか

サイバーセキュリティセンターは、リーダーが集まり、変化するサイバーリスクとそのシステム全体への影響を理解するための信頼できる基盤を提供しています。相互接続がますます進むデジタル世界で、理解と信頼の構築に取り組んでいます。

分野を越えた協力と知見の共有を可能にすることで、同センターはパートナーのサイバーレジリエンス強化と、集団的な対応が必要な課題への対処を支援しています。

同センターの取り組みを見る

3)統合されたサイバーセキュリティの共通ビジョンを策定し、推進する

官民のリーダーは、明確に定義された基本原則に基づくNATOのような、統合されたサイバーセキュリティの共通ビジョンを策定することに取り組まなければなりません。

統合されたサイバーセキュリティのビジョンは包括的で、誰もが参加できるものでなければなりません。サイバー犯罪者の行動に反応するだけでなく、次の行動を予測する必要があります。NATOに十分な訓練を受けた軍隊と絶えず進化する戦略があるように、この共通ビジョンも実行可能でなければなりません。また、効果的なサイバーセキュリティの技術的課題に最善の方法で対処する必要があり、その中には、以前の記事で取り上げたスキルの不足も含まれます。

個人も組織も、サイバーセキュリティの能力向上に取り組まなければなりません。サイバーセキュリティの教育と訓練は、誰もが受ける教育の一環とすべきです。こうした取り組みがなければ、この戦いに臨む経験豊かな兵士が足りなくなります。

サイバー犯罪は企業の重要課題Image: 世界経済フォーラム「2019年ビジネスを行う上での地域別リスク」報告書

4)実現に必要なテクノロジープラットフォームを推進する

現在の世界のインフラの大半は、サイバーセキュリティを考慮せずに設計されました。この状況を変えなければなりません。

サイバーセキュリティを機能させるには、コンピューティング能力が必要です。今後、大半の製品、機器、インフラには、この追加のコンピューティング能力を設計段階から組み込むべきです。さらに、機器に備わるサイバーセキュリティ機能は、システムの各層に処理負荷を分散する統合プラットフォームに適合していなければなりません。

ネットワークのすべての部分が連携して参加する、サイバーセキュリティのより大きなビジョンの一例が、従来のネットワークの前提を変えるセキュリティ主導型ネットワーキングです。最速の経路だけを探すのではなく、各経路のリスクを考慮し、安全性を確保できる最速の経路にトラフィックを流します。これを実現するには、各ネットワーク経路の速度とリスクに関する情報を、すべてのネットワーク機器が共有する必要があります。

低遅延と高い性能を維持しながら、ネットワーク全体に強固なセキュリティを提供する能力は、組織が求める重要な機能です。特に5Gネットワークの導入に伴い、その重要性が高まっています。集中型のアプローチは、もはや持続可能ではありません。

統合され最適化されたプラットフォームは、完璧な形では生まれないでしょう。しかし、その必要性を認識しなければ、そもそも実現しません。世界経済フォーラムのような組織にとって、サイバーセキュリティセンターは、世界各地の製品設計者に、製品にサイバーセキュリティを組み込む必要性と、そのためのベストプラクティスを引き続き伝えていく必要があります。場合によっては製品の刷新につながり、別の場合にはエコシステムの再設計につながるでしょう。多くの場合、両方の変更が必要になります。また、信頼を促進するため、より広く受け入れられる基準やプロトコル、そしてこのテーマに関する公開討論も必要です。

前進への道

この4つの課題を踏まえると、国境や地域の境界を越え、さらに各企業の内部でも真の統合を実現して初めて、サイバーセキュリティは真に保護された世界を築くという潜在力を最大限に発揮できます。

業界、業種、地域を問わず、産業界と政府のリーダーには、より安全な世界へと私たちを導く責任があります。既存の業界リーダーの間に不信と協力不足が蔓延する状況で、勝者となるのはサイバー犯罪者だけです。重要な国際組織のリーダーとして、WEFとそのサイバーセキュリティセンターのメンバーとして、そしてこの課題の重要性を深く認識する一個人として、私はサイバーセキュリティは私たち全員が担うべき責任だと考えます。

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