海面上昇:知っておくべきこと

There are two main drivers of sea level rise: melting glaciers and seawater expansion due to rising global temperatures.
The two main drivers of sea level rise: melting glaciers and seawater expansion due to rising global temperatures.Image: Unsplash/Thomas Vimare
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  • 気候変動による海面上昇は、世界で10億人に影響を及ぼしています。

  • 2024年、すでに記録的な水準にある海面が、予想外の速さで上昇しました。

  • 世界経済フォーラムのグローバルリスク報告書2025では、氷床の崩壊による海面上昇を含む「地球システムの重大な変化」が、今後10年間で世界にとって3番目に大きな脅威とされています。

海面上昇は、住居や生計、そして最終的には人命を脅かしています。実際、国連(UN)はこれを「世界的な危機」と呼び、世界で10億人に影響を及ぼしているとしています。

知っておくべきことを紹介します。

海面上昇とは何ですか?

海面上昇とは、地球の中心を基準に測定した海面の平均高度が上昇することです。この現象の主な要因は、氷河や氷床の融解と、海水が温まることによる熱膨張の2つです。気候変動によって地球の気温が上昇するなか、グリーンランドと南極の氷床は融解速度を増しており、海面上昇に大きく寄与しています。

さらに、海水は温まると膨張し、海面をいっそう押し上げます。海面上昇は気候変動を示す重要な指標であり、世界各地の沿岸地域や生態系、経済に広範な影響を及ぼします。

なぜ今、海面上昇が注目されているのですか?

2024年には、世界の海面が予想外の速さで上昇したことが、NASA主導の分析で明らかになりました。科学者は0.43センチメートルの上昇を予測していましたが、実際に記録された上昇幅は0.59cmでした。

ツバルなどの太平洋島しょ国であるキリバスやフィジーは、長年にわたり海面上昇と闘ってきました。そしてNASAは、今後30年間でさらに15cm海面が上昇すると予測しています。温室効果ガス排出が抑制された場合でも同様です。

小島しょ国や低地の国々の代表者は、2024年の国連総会(UNGA)ハイレベル・ウィークに集まりました。この会合では、喫緊の課題に取り組むため、初めて海面上昇に特化した会合が開かれました。

「今日、私たちには世界の潮流を変え、影響を受けるすべての国と地域社会に繁栄と尊厳、権利を保障する共通の道を歩み始める、歴史的な機会があります」と、ツバルの首相は述べました。

会合で議論された主な取り組みは次のとおりです。

  • 2026年に海面上昇に関する宣言を策定する

  • 海面上昇に伴うリスクの監視に役立てるため、AIなどのイノベーションを活用する

  • 科学者間の協力

  • 海岸線が侵食された場合にも国家としての地位を守るため、オーストラリアとツバルの間で条約を締結する。

海面はどのように測定するのですか?

従来、海面の測定には潮位計が使われており、世界各地の港で見ることができます。しかし現在では、人工衛星が海面にレーダー信号を照射して変化を測ることで、より正確に測定できます。

地域の気象条件などが海面に影響することがあるため、世界各地で測定し、その値を平均します。

世界経済フォーラムが取り組む地球観測の世界的な価値の拡大では、脆弱性分析を支援する技術の主要な活用例として、変化する海面の監視を挙げています。

1993年から2024年の間に、海面は10cm以上上昇しました。Image: NASAゴダード宇宙飛行センター

2021年、科学者たちは、グリーンランド氷床に由来する海面の「指紋」を発見し、氷の融解規模への懸念を裏付けました。

NASAによると、こうした指紋とは「世界各地で検出できる海面変動のパターンであり、地球の大陸における水の貯留量や氷床の質量の変化によって生じます」。

デンマーク・グリーンランド地質調査所によると、グリーンランド氷床は現在、1時間あたり約90億リットルの氷を失っています。

海面はどれくらい上昇しているのですか?

氷床が「融解が不可逆的になる転換点」にあることから、科学者は現在、避けられない1~2メートルの海面上昇を予測しています。

NASAによると、1993年から2024年の間に世界の海面はすでに10cm以上上昇しており、海面の上昇速度は過去2,500年間で前例のない水準に達しています。

センチメートル、あるいはミリメートル単位で測ると小さく見えるかもしれませんが、こうした上昇は大きな影響をもたらします。特に、高潮が従来よりも内陸深くまで押し寄せる地域では影響が大きくなります。

海面上昇の原因は何ですか?

米国海洋大気庁によると、海面上昇を引き起こす主な要因は2つあり、氷河の氷の融解と、地球の気温上昇による海水の膨張です。

氷河の融解を加速させる負のフィードバックループも存在する可能性があります。例えば、南極のスウェイツ氷河は予想より速く崩壊しています。この氷河は「終末氷河」とも呼ばれ、氷河とそれを支える棚氷が失われれば、海面が3メートルを超えて上昇する可能性があるためです。

海洋に蓄えられた熱は、世界の海面上昇の3分の1から半分を占めるとNASAは述べています。過去10年間は、少なくとも1800年以降で最も海洋が暖かい10年間でした。また、2023/2024年には海水温が過去最高を記録しました。

1971年以降、海洋は過剰な熱の90%以上を吸収してきました。この過剰な熱は、温室効果ガス排出の増加によって地球システムに生じたものです。

米国沿岸部では、2050年までに100年分の海面上昇が見込まれると予測されている。
米国沿岸部では、2050年までに100年分の海面上昇が見込まれると予測されている。
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海面上昇と気候変動の関係

気候変動は、世界的な海面上昇の主な要因です。

地球の気温が上がると、極地の氷冠や氷河が融け、大量の水が海に流れ込みます。この氷の融解が、海面上昇に直接つながります。

さらに、海洋が温暖化すると水が膨張します。この熱膨張と呼ばれる過程も、海面上昇の一因です。

海面上昇と気候変動の関係は複雑です。将来の海面上昇のシナリオを予測し、その影響を軽減する戦略を策定するには、この関係を理解することが不可欠です。

地球温暖化が続けば、海面上昇の速度は加速すると予想され、世界各地の沿岸地域に大きな課題をもたらします。

フォーラムのグローバルリスク報告書2025では、「地球システムの重大な変化」が今後10年間で世界にとって3番目に大きな脅威とされ、崩壊する氷床による海面上昇が主な要因の一つとして挙げられています。

世界的な海面上昇の影響

世界的な海面上昇は、人間と自然の双方に深刻で多面的な影響を及ぼします。海面上昇は道路や橋、建物などのインフラを脅かし、維持管理や修繕の費用を増加させます。

沿岸洪水の頻度と深刻度が増すと、侵食が進み、淡水源に海水が浸入します。その結果、飲料水の供給や農業生産が損なわれるおそれがあります。フォーラムの「水の未来:レジリエンスに向けたマルチステークホルダーの行動を促す」白書は、極端な水関連事象による水質汚染の問題を取り上げ、水のレジリエンスを高める5つの道筋を示しています。

さらに、海面上昇は、マングローブやサンゴ礁、塩性湿地などの沿岸生態系を深刻に脅かします。こうした生態系は、多くの種にとって重要な生息地です。

海面上昇によって低地に暮らす人々が移住を余儀なくされると、財産や生計の喪失、社会サービスへの負担増など、社会的・経済的な課題につながる可能性があります。

こうした影響に対処するには、脆弱な地域社会と生態系を守る包括的な適応戦略が必要です。

経済的・社会的な影響

海面上昇は、経済的・社会的に重大かつ広範な影響を及ぼします。海面上昇によって、防潮堤や高潮防護施設などの沿岸防護策の建設費や、インフラの損傷を修復する費用が増える可能性があります。

沿岸洪水や侵食による財産や生計の喪失は、特に脆弱な地域の人々に壊滅的な影響を与えかねません。さらに、海面上昇は、人々の移住や経済活動の混乱、社会サービスへの負担増を通じて、社会的・経済的な課題を深刻化させる可能性があります。

例えば、観光や漁業、農業に依存する地域社会は、海面上昇によって生活様式が脅かされ、大きな経済的損失に直面するおそれがあります。

こうした経済的・社会的影響を理解することは、効果的な適応戦略を策定し、脆弱な人々に及ぶ海面上昇の影響を軽減するうえで不可欠です。

過去の海面上昇と歴史的背景

地球の歴史を通じて、海面は大きく変動してきました。最終氷期とその後の温暖化期には大きな変化が起きました。しかし、現在の海面上昇速度は前例のないものです。

1890年以降、世界の平均海面は約21~24cm上昇しました。米国海洋大気庁によると、この速度は歴史的な平均を大きく上回っています。この急速な上昇の主な原因は、人間活動に起因する気候変動です。化石燃料の燃焼によって温室効果ガスの排出量が増加したことが、その背景にあります。

過去の海面上昇とその歴史的背景を理解することは、将来の変化を予測し、効果的な適応戦略を策定するうえで不可欠です。

過去のデータを研究することで、科学者は海面の自然変動や、現在の傾向が人間活動によってどの程度左右されているかを、より深く理解できます。

海面上昇の影響を最も受けるのはどの国ですか?

バングラデシュ、中国、インド、オランダは、海面上昇のリスクが高い国として2023年に国連が名指ししました。低地の沿岸地域に暮らす約9億人が、深刻な危険にさらされています。

NASAによると、米国の東海岸とメキシコ湾岸、アジア、島しょ部は海面上昇のリスクが高い地域です。しかし、脅威となるのは海面の変化だけではないといいます。「高潮は海面上昇によって増幅され、水位がさらに高くなり、高潮がより内陸まで到達するようになります」。

ロイターによると、トンガ周辺では、海面が世界平均のほぼ2倍の速度で上昇しています。欧州では、海面上昇が10cmを超えると予想されています。欧州環境機関によると、これは「2050年より前」に起こる見込みです。

米国の調査では、沿岸地域の重要施設のうち、ほぼ1,100棟が2050年までに毎月洪水に見舞われるリスクにさらされる可能性があることが判明しました。報告書によると、地域によっては今後20~30年以内に居住できなくなる可能性があります。

海面上昇は「地球システムの重大な変化」の一つであり、今後10年間で世界にとって3番目に大きな脅威です。Image: 世界経済フォーラム

海面上昇のリスクがある地域は、どのように適応していますか?

グラスゴー気候合意によると、先進国は気候変動への適応資金を少なくとも年間400億ドルに倍増させる必要があります。しかし、それを達成したとしても、年間1,870億~3,590億ドルの適応資金不足はわずか5%しか縮小しません。国連環境計画(UNEP)はそう指摘しています。

ツバルはどのようにしてデジタル技術を活用して海面上昇から身を守っているのか
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その一方で、世界各地の国や都市が対策を実行に移しています。ニュージーランドでは、気候変動への適応政策の一環として、気候災害が起きやすい地域の近くに公営住宅を建設しない方針が策定されています。

デンマーク、ドイツ、英国など複数の国では、防潮堤や高潮防護施設などの沿岸防護策が建設・強化されています。

韓国とインド洋のモルディブ諸島では、水上住宅の実証が進められています。一方、中国やインドなどの国々は、雨水を吸収・貯留して再利用する方法を模索しています。

フィジーでは、さらに踏み込んだ対策が進められており、政府当局者は海面上昇を理由に村全体を移転する計画を立てています。42の村が移転を勧告され、すでに6つの村がより安全な場所に移転しました。ガーディアン紙が報じています。

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