世界の氷床は気候変動にどれほど脆弱なのか?

Ice sheet breaking apart.
The Greenland Ice Sheet lost 3,900 billion tonnes of ice.Image: Unsplash/ Ivan Bandura
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  • 南極大陸の東部3分の2は氷床に覆われており、研究によって、この氷床が気候変動の影響を受けやすいことが示されている。

  • 地球上の淡水のほぼ70%は、グリーンランドと南極大陸を覆う広大な大陸氷床に凍結している。

  • 東南極氷床は現在安定しているものの、比較的小幅な気温上昇にも非常に敏感だ。

  • その行方は、地球温暖化をどれだけ効果的に抑制できるかにかかっている。

南極大陸の東部3分の2を覆う氷床は、融解すれば海面を52メートル上昇させるほど巨大だ。かつて多くの科学者は、この氷床は気候変動の影響をほとんど受けないと考えていた。しかし、今ではそうではない。『Nature』に掲載された私たちの新たな研究は、南極の眠れる巨人を目覚めさせた場合に起こる深刻な結果を明らかにしている。

地球上の淡水のほぼ70%は、グリーンランドと南極大陸を覆う広大な大陸氷床に凍結している。両氷床を合わせると、海面上昇に換算して約65メートル分の水を蓄えている。したがって、遠く離れた極地の氷床の体積が比較的小さく変化するだけでも、地球規模の影響が生じる。推定では、海抜10メートル以内に暮らす人は10億人で、そのうち2億3,000万人は海抜1メートル以内に暮らしている。

科学者は、主に降雪による質量の流入と、主に雪や氷の融解、および分離して流れ去る氷山による質量の流出を推定し、氷床の体積変化を測定する。流入と流出の差は氷床の「質量収支」と呼ばれ、気候変動に非常に敏感だ。

東南極氷床の表面に設けられた観測拠点。Image: The Conversation。

氷床の質量収支を測定する最近の取り組みからは、非常に懸念される状況が浮かび上がっている。海面上昇に換算して約7.4メートル分の氷を含むグリーンランド氷床は、1992年から2018年までに3兆9,000億トンの氷を失い、この期間に世界の海面を11ミリメートル上昇させた。南極大陸の西部にある西南極氷床でも、同様の状況が見られる。この氷床は海面上昇に換算して約5.3メートル分の氷を蓄えており、1992年から2017年までに2兆トンを超える氷を失い、海面を約6ミリメートル上昇させた。

南極大陸の氷床の厚さ。Image: The Conversation。

想定以上に敏感

意外に思われるかもしれないが、世界最大の東南極氷床に焦点を当てた研究は、これまでかなり少なかった。地球温暖化への脆弱性ははるかに低いと考えられていたためだ。その理由は、氷床の広い範囲が数百万年にわたる「自然な」気候変動を経ても維持されてきたこと、また近年の観測で、質量が均衡しているか、増加さえしている可能性が示されていることにある(気温が高い大気はより多くの水分を含めるため、降雪量が増える)。実際、この氷床は過去1世紀にわたって、海面上昇をわずかに抑えていた可能性さえある。

東南極氷床から分離した塔のような氷山。Image: The Conversation。

しかし、過去20年ほどの観測からは、東南極氷床がこれまで考えられていたよりも、気候温暖化にかなり敏感である可能性が示されている。トッテン氷河やバンダーフォード氷河のような主要な流出氷河は薄くなり、後退している。また、氷床の「弱い下腹部」と呼ばれるウィルクスランドでは、明らかな質量減少の兆候が見られる。海面よりかなり低い「陸地」の上にあるため、特に不安定なのだ。

過去から得られる教訓

また、過去の温暖期には、二酸化炭素濃度と大気温度が現在よりわずかに高かっただけなのに、東南極の一部が大幅に後退したことを示す証拠もある。

東南極のウィルクスランドで薄くなり後退しているとみられる主要な流出氷河の一つ、バンダーフォード氷河の端。Image: The Conversation。

約300万年前の鮮新世中期の温暖期には、東南極の氷が主にウィルクスランドで失われ、世界の海面を数メートル上昇させた可能性が高い。近年の研究では、約40万年前、世界の気温が現在よりわずか1~2℃高かった時期に、ウィルクスランドの氷が現在の位置から内陸へ700キロメートル後退したことも示唆されている。したがって過去から得られる重要な教訓は、東南極氷床は現在安定しているとしても、比較的小幅な温暖化に非常に敏感だということだ。

眠れる巨人を起こしてはならない

では、今後数十年から数世紀の間に実際に何が起こるのだろうか。この問いに答えるため、私たちは最近、さまざまなコンピューターシミュレーションの予測を分析した。結果は憂慮すべきものだったが、希望を持てる点もあった。

地球温暖化による質量減少は降雪量の増加で相殺されるため、短期的には氷床はおおむね均衡を保つ可能性が高いと分かった。不確実性は大きいものの、2100年までの海面上昇への寄与は約2センチメートルにとどまり、グリーンランドや西南極で氷が融解した場合に予測される寄与を大きく下回ると結論づけた。

しかし、今後数世紀にわたる東南極からの海面上昇への寄与は、排出量を抑制できるかどうかに大きく左右される。排出量の多い状態が続き、2100年以降も温暖化が続けば、東南極は2300年までに約1~3メートル、2500年までに約2~5メートルの海面上昇に寄与する可能性がある。グリーンランドと西南極からの大きな寄与に加わり、沿岸地域に暮らす数百万人を脅かすことになる。

温暖化を2℃未満に抑えた場合(各年の左列)と、極端な温暖化シナリオの場合(右列)に、東南極氷床の融解水によって海面がどれほど上昇するか。Image: The Conversation。

しかし、重要なのは、温暖化を2℃を十分に下回る水準に抑えるというパリ協定が達成されれば、500年後でさえ東南極による海面上昇への寄与は0.5メートル未満にとどまると、私たちの分析が示唆していることだ。

世界最大の氷床の行方は、私たちの手に委ねられている。

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