ラテンアメリカとその先で、いかに循環型バッテリー経済を築くか

A circular battery economy can drive the electric vehicle transition
A circular battery economy can drive the electric vehicle transitionImage: Photo by JUICE on Unsplash
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  • 電気自動車(EV)市場の成長を支えるため、リチウムの世界需要は急増すると予想されています。

  • 世界で確認されているリチウム資源の半分以上がラテンアメリカにあります。

  • 地域的な循環型バッテリー経済の構築は、EVへの移行がもたらす大きな機会をラテンアメリカが捉える一助となります。

リチウムの世界需要が急増すると予想されるなか、ラテンアメリカの豊富なリチウム資源は、今後数年間でさらに注目を集め、投資を呼び込むことは間違いありません。こうした資源に、地域で急速に拡大する電気自動車(EV)の需要が加わることで、ラテンアメリカはEVバッテリーのサプライチェーンにおいて、ますます複雑な役割を担うことになります。

この機会を十分に捉えるため、ラテンアメリカは次のことを実現できる地域的な循環型サプライチェーンに投資すべきです。

• 使用済みバッテリーをリサイクルし、責任ある方法で管理する。

• リサイクルと強固な中流工程のサプライチェーンを通じて鉱物資源を地域内で循環させ、そこから得られる価値を高める。

• 車両の輸入を通じて低価格EVの需要に応え、EVへの移行を支援するとともに、バッテリーが使用済みになった際に車両に含まれる鉱物を回収する。

以下では、なぜこれが必要なのか、そしてどうすれば実現できるのかを説明します。

豊富なリチウム資源と発展初期の中流工程

世界で確認されているリチウム資源の半分以上はアルゼンチン、チリ、ボリビアに存在し、現在の世界のリチウム供給量の約30%がこの地域で採掘されています。現在、チリは大陸最大の生産国ですが、アルゼンチンでは投資が拡大しており、2030年までに同国の生産量はチリに匹敵すると予想されています。

Image: IEA重要鉱物エクスプローラー
Image: IEA『世界重要鉱物見通し2024』

精製後、アルゼンチンとチリのリチウム化学製品は輸出され、バッテリー部品の製造に使われます。しかし、リチウムを輸出するだけでは、下流工程に存在するより大きな付加価値を取り込めません。国連開発計画が指摘するように、「リチウム産業の利益の大半は、リチウム電池を生み出す長いサプライチェーンからもたらされます。リチウムを採掘して輸出するだけの国が得られる利益は、限られる可能性が高いのです。」

豊富な天然資源と急増する需要を背景に、ラテンアメリカではバッテリーメーカーからの投資が見られるようになっています。たとえば、アルゼンチン初の工業規模のリチウム電池工場が操業を開始しました。場所はラプラタ市で、操業開始は2023年12月です。それでも、この地域のバッテリー製造は依然として限られています。

地域で拡大するEV需要と使用済みバッテリーの今後

ラテンアメリカのEV需要はまだ初期段階にありますが、急速に伸びています。2024年の地域全体のEV販売台数は18万4,000台で、総自動車販売台数のわずか4%を占めましたが、前年比では倍増しました。ブルームバーグNEF(BNEF)は、2028年までにこの地域の販売台数に占めるEVの割合が10~20%になると予測しています。

どの地域でも同様に、高い初期購入費用が販売の足かせとなってきましたが、低価格の中国製モデルの登場で状況が変わりつつあります。こうした手頃な価格のモデルが販売増に直接寄与しており、車両の流入によってEV向けインフラやEVへの関心が広がる可能性があります。さらに、現在ではラテンアメリカの大半の国がEV販売を支援する金銭的な優遇措置を設けています。EV普及の継続的な拡大には、優遇措置の継続と低価格車両の確保が欠かせません。

現在のラテンアメリカの自動車販売台数は約560万台です。BNEFが予測するEV販売比率10~20%は、2028年のEV販売台数56万~112万台に相当します。つまり、2040年ごろにはこの地域で100万個を超えるEVバッテリーが寿命を迎えることになります。また、低価格車両の供給を増やすために中古EVを輸入すれば、さらに多くのバッテリーがより早く使用済みになる可能性があります。

循環型バッテリー経済がもたらす機会

地域的な循環型サプライチェーンを構築し、バッテリーの国境を越えた移動を責任ある形で行うことで、上記の課題に次の3つの方法で対処できます。

1. 使用済みバッテリーをリサイクルし、責任ある方法で管理する

ラテンアメリカのようにEV普及が進む地域では、バッテリーの回収、前処理、金属回収のためのインフラが不可欠です。最低限、この地域では回収、解体、診断、前処理のネットワークを整備し、バッテリー材料を回収施設まで容易に取り扱い、輸送できるようにする必要があります。この地域がすでに持つ能力を踏まえれば、現在および将来の工程、インフラ、人材の相乗効果を生かしてリサイクル能力を高め、今後発生する使用済みバッテリーを責任ある形で管理するとともに、成長するバッテリー製造産業に材料を供給できます。

新しい「パスポート」を使えば、環境に優しい自動車用バッテリーを選ぶことができます。
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2. バッテリー製造とリサイクルを通じてリチウム資源の価値を高める

地域内の循環ループを築いてEVバッテリーのサプライチェーンへの参加を広げれば、鉱山採掘由来かリサイクルバッテリー由来かを問わず、原材料を輸出して世界の他地域に貢献するだけでなく、生産地域で活用できるようになります。リチウムを含む正極活物質(CAM)は、バッテリーセルのコストの53%、バッテリーパック全体のコストの30%を占める可能性があります。リサイクルと中流工程の加工を通じてCAMをラテンアメリカで循環させれば、その価値を地域内にとどめ、同じ精製リチウムから複数回価値を生み出せる可能性があります。リサイクルと中流工程の加工によってバリューチェーンへの地域の参加を広げることは、少数の国への依存を減らし、世界のEVバッテリーサプライチェーンの強靱性を高めることにもつながります。さらに、バッテリー材料の輸送に伴う排出、コスト、安全面の課題を軽減できます。

3. 中古車で低価格EVの需要に応える

再利用や用途変更によってバッテリーの寿命を延ばすことは、悪影響を抑え、バッテリーの恩恵を最大限に引き出すうえで重要です。南米の大半の国は中古車の輸入を禁止しています。有用な残存寿命のある中古EVを輸入できるよう、これらの規制を(少なくとも一時的に)見直す必要があるかもしれません。これにより、低価格EVの重要な供給源を確保できるほか、リサイクル施設の能力拡大を支える原料や、この地域に存在しないリチウム以外の重要鉱物も得られます。同時に、メキシコやペルーのように、車両の年式や排出基準に制限を設けることで、有用な中古車だけを輸入し、発展初期のリサイクル体制に過度な負担がかからないようにする必要があるかもしれません。

小型商用車の中古車に関する規制状況(UNEP、2023年12月)Image: UNEP『中古車と環境:2024年の最新情報と進捗』

地域的な循環型バッテリー経済の構築は、EVへの移行に伴い今後生まれる大きな機会をラテンアメリカが捉える一助となります。

循環型バッテリー経済が価値を最大化し、リスクを低減し、公平な成果を高める方法については、世界経済フォーラム、RMI、グローバル・バッテリー・アライアンスによる共同報告書『未来に電力を:循環性でバッテリーのサプライチェーン課題を克服する』をご覧ください。

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