英国の一言語主義が国に大きな代償をもたらしかねない理由

A painted Union Flag, popularly known as the Union Jack, the national flag of the United Kingdom is seen on the rocks on the English side of the River Wye, Chepstow, Wales, March 28, 2017. REUTERS/Rebecca Naden - RTX333G4
A strategic language policy and the cultivation of language experts in post-Brexit Britain are essential if it wants to connect with fresh markets overseas.Image: REUTERS/Rebecca Naden
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英国がEU離脱に備えるなか、経済を繁栄させるために考慮すべきことは数多くある。見過ごされがちなものの一つが英国の言語政策であり、経済資源としてそれがいかに重要かという点だ。海外の新たな市場とつながるには、戦略的な言語政策と、EU離脱後の英国で言語の専門家を育成することが不可欠である。

これは、国際外交において長らく見られる特徴であり、私たちが知るグローバル化よりもはるか昔にさかのぼる。旧世界の大国はどこも、異なる文化圏を越えて貿易するために、他者の言語を理解することに頼っていた。「現代的な」解決策は、バビロニアに見いだされた。近東にあった古代の商業都市の中心地で、地中海、ペルシャ、トルコなど各地から多言語を話す商人たちが集まっていた。

紀元前1790年代に、ハンムラビ王が、拡大しつつあった自らの都市の文化的な多様性を資源として巧みに活用したという記録がある。王は二言語を話す外国人商人を異文化間の仲介役として用いた。彼らは語学力を生かし、遠方の市場との長距離貿易を促進するうえで重要な役割を果たした。

現在、英国経済が直面する最大の課題の一つは、技能を持つ人材の不足だ。技術技能の訓練を支援する資金は約束されているものの、英国企業が新たな市場で売上を伸ばすには、語学力を備えた専門職も必要である。こうした専門家は、取引相手の言語を話し、新たな海外の関係者の文化を理解して、交渉を行い契約を成立させなければならない。この重要なソフトスキルへの投資が必要だ。

政府統計によると、英国は労働力における語学力と文化的理解の不足により、毎年GDPの約3.5%を失っている。こうした損失は、英国企業が慢性的に成果を上げられない状態にあることの表れのようだ。10年以上前、英国商業会議所は、言語や文化の壁が人脈、売上高、収益性の損失につながるだけでなく、新たな市場への進出をためらわせることも明らかにした。労働力に潜在するこうした語学力不足は、英国がすでに英語圏の輸出市場に過度に依存していることを示唆している。

コミュニケーションの壁がもたらすこうした経済的損失に対処しなければならない。語学力に投資しなければ、EU離脱後、貿易関係と輸出実績はさらに悪化する。外国語を話すのが苦手だと認める英国人が多いなか、EU域外の新たな市場との関係を築く多言語人材が、今こそかつてないほど必要とされている。

懐柔と魅了

新たな経済的アプローチを築くにあたり、英国は旧英連邦に頼るだろう、そこで主に話されている言語は英語だからだ、と主張する人もいるかもしれない。しかし、「帝国2.0」と呼ばれる構想の支持者は、世界のほかの地域はすでに先へ進んでいるという現実に直面することになる。世界経済の主要な新興市場は英連邦の枠を越え、中国、ブラジル、トルコ、インドネシア、ベトナムに広がっている。また、英国には今後もEU全域に重要な貿易相手国がある。

世界各地で新たな市場を求める状況にあって、多言語人材の基盤を広げることを優先しなければならない。英国には、世界各地から移住した人々が暮らす、きわめて国際色豊かな社会がすでにあるという強みがある。まず、これはEU離脱後の大きな追い風となる。しかし、長期的な投資も必要だ。

投資銀行UBSの会長、リチャード・ハーディーは、こう述べている:

多くの企業が国際交渉で必要とする懐柔と魅了の組み合わせには、外国語への深い理解が欠かせないことが多い。[しかし] 本当に価値ある交渉人とは、相手が本来なら望まないことを別の文化圏の人に受け入れてもらうため、巧みな言い回しを生み出せる人だ。

英国はEU離脱後、外国との一連の貿易交渉に乗り出そうとしている。ハーディーの言うとおりなら、交渉チームには外国語の専門家を大勢そろえる必要がある。

細かな機微を理解する

しかし、多言語の専門知識がもたらす実務上の利点は、話の一部にすぎない。海外での交渉を円滑に進める役割を担う人には、異文化への理解も必要である。

KPMGのフランス人幹部、イザベル・アレンは、こう語る。

私は、まったく一つの言語しか話せず、[異なる言語的背景を持つ]人たちが集まる場の空気を読めない人に大勢会ってきました……人々が[実際に]何を言っているのか、彼らには分からないのです。

言葉には機微が多く含まれ、行間を読み、微妙な言い回しや文化的な言及を理解する必要があるからだ。たとえば西洋人は、中国人が「ノー」と言うのを好まず、代わりに曖昧な「様子を見ましょう」という表現を選ぶことを理解する必要がある。交渉の場では、異文化への感受性が明らかな強みとなる。

つまり、英語を母語とする人々は、世界のほかの地域で英語を学びたいという需要をただ利用すればよいわけではない。一言語しか話さない英国人が国際ビジネスのやり取りに潜む機微を理解できないのと同様、翻訳によって何が失われるのかも分からない。多言語主義の市場可能性を扱った私の著書『Linguanomics』で示すように、この点を無視すれば、誤解が深まり、機会を失うことになる。

EU離脱は、英国における戦略的な言語政策を見直し、とりわけ国際色豊かな英国が持つ、すでに豊かな多言語資源を活用するための警鐘である。あらゆる段階の言語教育に、長期的かつ戦略的な投資を行わなければならない。企業も語学研修への資金援助から恩恵を受け、それがさらなる収益を生み出す手段にもなる。政府には、世界各地に広がる新たな貿易関係に英国が備えられるよう、分野横断的な言語関連の取り組みを支援する絶好の機会がある。

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