新聞業界が今も活況を呈している国が、世界に一つある

A man reads a newspaper as he waits for public transport at a bus stop in Mumbai, India, January 31, 2017. REUTERS/Shailesh Andrade - RTX2YXLC
The robustness of India’s print-newspaper industry cannot be attributed to lack of growth in Internet access.Image: REUTERS/Shailesh Andrade
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世界各地で新聞は、インターネットへの大規模な移行により発行部数が落ち込み、広告収入も崩壊して、差し迫った消滅の危機に直面しているように見える。しかし、インドは違う。

西側諸国では、若者の多くが自宅に届けられる紙の朝刊を読まなくなり、タブレットやノートパソコン、携帯電話を使って、好きなときにニュースをチェックするようになった。広告収入がインターネット大手のフェイスブックやグーグルに吸い上げられ、新聞社の利益は急落した。業界では近年、多くの企業が倒産し、営業を続けている企業も、特に海外支局で大幅な人員削減を行うことが多い。米国では、フルタイムで働くジャーナリストの数が2001年以降20%減少した。

名門紙でさえ、廃刊したり、オンラインのみの発行に切り替えたりしたところがいくつもある。結局、注目を集めているのはサイバー空間だ。それでも、よく知られた新聞のなかには、たとえばニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、そして英国を拠点とするガーディアンのように、自らも強固なインターネット上の存在感を築いたところがあるが、それだけでは十分ではない。

「ガーディアン」の場合、ウェブサイトのユニーク訪問者数は1日あたり3,800万人と驚くほど多い一方、紙の発行部数はわずか20万部だ。しかし、オンラインの訪問者は無料で記事を読むため、「ガーディアン」は巨額の損失を出し続けている。大半の新聞社では総収入のわずか10~15%を占めるにすぎないウェブ広告収入が、かつての紙面広告収入にかなわないことも、状況を悪化させている。

こうした状況を受け、ジャーナリズムを学ぶ学生の間には、明らかな不安が広がっている。昨年、CareerCastの調査は3年連続で、「新聞記者」を米国の若者にとって最悪の職業に挙げた。(全面的に、そして少々苦々しい気持ちを交えて明かすと、私の息子の一人はワシントン・ポストの記者だ。)

ところがインドでは、木材パルプから作られる紙に印刷された言葉が、驚くほど健全な産業として存続している。インドは現在、有料新聞の数が世界最多で、その数は2013年の5,767紙から2015年には7,871紙へと増え続けている。同じ2年間に、米国では50紙が廃刊した。米国の新聞発行数はインドの4分の1にも満たない。

さらに、新聞の読者数に関する数値として今月、発行部数監査局(ABC)が公表したデータによると、過去10年間でインドの新聞発行部数は大幅に増加し、2006年の3,910万部から2016年には6,280万部へと、60%伸びた。これに匹敵する増加は世界のどこにもない。入手可能な最新年である2015年の比較可能なデータを見ると、インドで新聞発行部数が12%増加した一方、他のほぼすべての主要メディア市場で減少した。英国では12%、米国では7%、ドイツとフランスでは3%の減少だった。

インドの紙の新聞業界が堅調なのは、インターネットへのアクセスが伸びていないからではない。過去10年間で、インターネットにアクセスできる人口の割合は10%未満から約30%に上昇した。では、インドの新聞市場が活況を呈している理由は何だろうか。

基本的な要因の一つは、インドの識字率の上昇だ。識字率は79%まで高まり、主な理由は北部諸州の「牛ベルト」、つまりヒンディー語圏の中心地で改善が進んだことにある。1960年代には、ヒンディー語を話す人々の識字率は、英語、マラヤーラム語、ベンガル語で読む人々に比べて圧倒的に低く、ヒンディー語新聞の発行部数も少なかった。今日では、状況は逆転している。ヒンディー語新聞は2期連続で最も速い成長を遂げ、2006年以降の平均発行部数は年平均複利成長率8.78%で急増した。

経済発展もインドの新聞業界を支えてきた。新たに豊かになったインド人の多くは、テレビで国内外のニュースを得ている。しかし、身近な地域の出来事を伝えるには、地元の日刊紙が最適だ。そして実際、新聞は今もインド社会のこの層に情報を届ける最良の手段である。

もちろん、インドの大手報道機関の大半はデジタルサービスを拡充している。自社サイトからニュースをダウンロードするモバイルアプリを作り、手持ち端末の小さな画面に合わせた、読みやすい短いニュース要約を読者に届けることも増えている。

しかし、多くの熱心な読者にとって、こうした選択肢は印刷された新聞記事の見た目や手触りに取って代わるものではない。紙の新聞には、信頼性という利点もある。インドでは電力供給が依然として不安定で、首都でも停電が頻繁に起きるため、インターネットに常時アクセスできるとは限らない。ニュースを追い続ける人には、バッテリーを満充電にしなくても日なたで読める、手に取れる紙が今も必要なのだ。

こうした状況を考えれば、インドの広告主が、ちらつくカーソルより新聞のインクの魅力を選び続けていることも、さほど驚くにはあたらない。西側諸国とは大きく異なり、広告は今もインドの新聞業界の主な収入源である。

もちろん、この傾向がいつまでも続くとは限らない。しかし今のところ、インドの新聞が経営的に成り立たなくなる危険はない。デジタル広告支出は年率約30%で急増しているものの、インドの広告支出全体に占める割合はわずか8%にすぎない。一方、テレビ広告と紙媒体の広告収入も、それぞれ8%、4.5%増加している。

ABCは、この差は2021年までに縮まり、紙媒体とデジタルメディアの広告収入が同水準になると予測している。それでもインドの紙媒体は、西側諸国の同業者がうらやむほど潤沢な広告収入を得るだろう。

こうして、インドの紙媒体をめぐる明るい状況は続いている。力強く成長するインドは、新聞愛読家にとって、当面は楽園であり続けるだろう。まだ識字能力を身につけていない人が2億8,000万人いる。読み書きができるようになれば、彼らも自分たちの新聞を求めるはずだ。

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