ブッカー賞2022は、スリランカの作家シェハン・カルナティラカが受賞した。
最終候補には、4大陸にまたがる5つの国籍の作家による6つの小説作品が選ばれた。
内戦から政治、人種差別、神話や民間伝承まで。受賞作と最終候補に残ったほかの5作品について、知っておきたいことを紹介する。
死後の世界で任務に挑む、死んだ戦場カメラマンを描いた小説――『マーリ・アルメイダの七つの月』――が、スリランカの作家シェハン・カルナティラカによる作品として、ブッカー賞2022を受賞した。
1990年代、内戦下のスリランカを舞台にしたカルナティラカの2作目の小説は、同性愛者でギャンブル好きの戦場カメラマン、マーリ・アルメイダを描く。彼は目を覚ますと、自分が死んでいることに気づく。
マーリにとって時間は切迫している。彼に残された「7つの月」の間に、愛する人たちに連絡を取り、祖国の紛争の残虐さを写した隠し写真へと彼らを導かなければならない。
2019年以来初めて対面で開かれた授賞式で、英語で書かれた小説を対象とする年間賞金56,810ドルの文学賞の受賞者は、カミラ王妃からトロフィーを受け取った。
「『七つの月』について私が願うのは、そう遠くない将来に……汚職、人種間の対立をあおる言動、縁故主義といった考えが機能せず、これからも機能しないと理解したスリランカで、この本が読まれることです」と、カルナティラカは受賞スピーチで述べた。
「物語から学ぶスリランカでこの本が読まれ、『七つの月』が書店のファンタジーの棚に並び……リアリズムや政治風刺と間違えられないことを願っています。」
「これは形而上学的なスリラーであり、死後の世界を描くノワールです。異なるジャンルの境界だけでなく、生と死、肉体と精神、東洋と西洋の境界も溶かしていきます」と、審査委員長のニール・マグレガーは述べた。
ブッカー賞2022の最終候補に残った、ほかの5作品はこちら。
『グローリー』ノヴァイオレット・ブラワヨ著
『グローリー』は、動物たちの視点から語られる、植民地化と反乱を描いた小説で、著者はノヴァイオレット・ブラワヨ。ジンバブエで育った。作品の架空の国は、カリスマ的な馬に支配されている。馬は暴君となり、40年間にわたって君臨する。ブッカー賞は本作を、オーウェルの『動物農場』やジンバブエ、そして多くのアフリカ諸国の運命と重なる政治寓話と評している。
『トリークル・ウォーカー』アラン・ガーナー著
『トリークル・ウォーカー』は、88歳の英国人作家アラン・ガーナーの作品で、ブッカー賞の最終候補に選ばれた作家として史上最高齢となった。本作の主人公は、病気から回復しつつある少年ジョー・コポックと、廃品商で治療師のトリークル・ウォーカーだ。2人の出会いから、ジョーが世界を理解する助けとなる夢のような物語が始まる。ブッカー賞によると、本作では神話、民間伝承、そして「時間の流動性」が探求されている。
『スモール・シングス・ライク・ジーズ』クレア・キーガン著
『スモール・シングス・ライク・ジーズ』は、アイルランドの作家クレア・キーガンによる作品で、1985年のアイルランドの町が舞台だ。ブッカー賞によると、「道徳的なテーマが濃密に織り込まれている」。物語は、教会が運営する母子施設での女性の扱いを描いていると、新聞『アイリッシュ・インディペンデント』は説明する。主人公は、修道院に石炭や木材を配達する地元の商人ビル・ファーロング。地域の人々に問題を気づかせようと奮闘する。
『ザ・ツリーズ』パーシヴァル・エヴェレット著
『ザ・ツリーズ』は、米国の作家パーシヴァル・エヴェレットによる作品で、刑事たちが連続する残虐な殺人事件を捜査するミシシッピ州が舞台だ。筋書きは、1955年に起きた14歳の黒人少年エメット・ティルの実際の人種差別殺人事件と結びついていく。ブッカー賞は本作を、「人種差別と警察の暴力に対する強力な糾弾」と評している。
『オー・ウィリアム!』エリザベス・ストラウト著
『オー・ウィリアム!』は、米国の作家エリザベス・ストラウトによる作品で、ニューヨークに暮らす成功した作家、架空の主人公ルーシー・バートンを描く。最初の夫ウィリアムと再会したとき、2人は愛や喪失、家族の秘密など、共に過ごした人生を振り返る。ブッカー賞によると、これは「鋭い心理洞察」に満ちた、ある普通の人についての小説だ。
