ものづくりが重要な理由

ものづくりが重要な理由
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過去1年にわたり、世界経済フォーラムとデロイトは、世界の製造業エコシステムがどのように進化しているかを理解するためのイニシアチブで協力してきました。このイニシアチブでは、ブラジル、中国、インド、米国、英国で開催した一連のワークショップに、世界各国の製造業の上級幹部や政策立案者が参加しました。世界の生産システムは、多くの人が理解しているよりもはるかに相互依存的で複雑です。衣料品のような単純なものをつくる場合でも、複数の国にまたがる複数の企業が担う複数の機能が関わり、国際貿易政策の枠組みの下で運営される高度なグローバル物流ネットワークがそれを支えています。 この5分間の動画は、ダボスで開催されたフォーラムの年次総会でこのテーマに関するワークショップの導入として使用されたもので、私たちが探究した課題のいくつかを紹介しています。

今週、私たちは東京で 「製造業の未来(Future of Manufacturing)」 報告書を発表します。報告書から、3つの所見だけを取り上げたいと思います。第一に、モノの生産は、脱工業化した国々にとってさえ、経済成長の重要な原動力であり続けています。第二に、世界の製造システムは変化してきましたし、今後も変化し続けるでしょう。第三に、国家間および企業間の競争は激化の一途をたどり、人材、イノベーション、政府の政策が重要な差別化要因として浮上しています。

日本は、この成果を発表するのにふさわしい場所です。ものづくり(モノをつくる文化)という概念は、戦後の日本が経済大国として台頭する原動力となりました。より速く、より良く、より安くものをつくる手法であるリーン生産方式は、基本的にトヨタが生み出し、他の自動車メーカー、そしてその後あらゆる種類の企業が取り入れました。しかし、米国と同様に日本でも、製造業への偏重は誤りであり時代遅れではないかと疑問を呈する経済学者がいます。昨年、日本は1980年以来初めて年間の貿易赤字を記録しました。

私たちの分析によると、製造業、とりわけ高度な製品や部品のハイエンド製造は、経済成長と発展の重要な原動力であり続けています。ハーバード大学のリカルド・ハウスマン氏とMITのセサル・ヒダルゴ氏は、各国が発展する過程での生産の歴史を追跡する説得力のある研究を行いました。彼らの研究は、国が何をつくることができるか、すなわち製品の高度さとその製品構成の多様性が、経済成長と繁栄を牽引することを示しています。

世界の生産システムでは大きな変化が起きています。もはや、自動車ならデトロイト、航空機ならシアトルのように、ひとつの場所でものがつくられる時代ではなく、複数の場所で生産された複数の部品からつくられています。BRIC諸国の消費力と生産力の高まり、情報技術の普及と製造のデジタル化、地域貿易協定の拡大といった要因が、グローバル・バリューチェーンの分散化を促してきました。最近では、「低コスト」国における人件費の上昇、為替変動リスクへの曝露の増大、世界の一部地域における保護主義的な反発といった要因が、一部のサプライチェーンの再集約を促しています。

おそらく、世界は私たちが考えていたほどフラットではないのでしょう。大きな変化が低コストの労働力によって促されていると考えるなら、次の点を考えてみてください。1)米国の製造業の雇用はこの2年間で増加しており、2)組立ラインで労働者に代わる高価な機械である産業用ロボットの販売は、中国でこの2年間に大幅に増加しています。

ハイエンドの生産能力を高めようとする国家間の競争や、イノベーションを目指す企業間の競争は、激化の一途をたどるでしょう。ものづくりに必要なのは、本で読んだりインターネットからダウンロードしたりできる情報としての知識だけではありません。ものづくりにはノウハウ、つまり人が実際に作業を行うことで身につけるスキルや能力が必要です。競争するには、最先端のナノテクノロジーに取り組む科学者やエンジニアから、現場の機械工や溶接工に至るまで、あらゆる人材が求められます。私たちの分析では、熟練した人材の不足により、現在世界で1,000万人分の製造業の求人が埋まっていないと推定されています。今後もフォーラムは、「成長のための製造業(Manufacturing for Growth)」イニシアチブを通じて、グローバル・バリューチェーン、雇用、人的資本の間の関連性を探ることで、この重要なテーマに取り組み続けます。

著者:ジョン・モアベンザデ(John Moavenzadeh)は、世界経済フォーラムのモビリティ産業担当シニアディレクターであり、World Economic Forum USAのオフィサーです。

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