10月23日月曜日、世界経済フォーラムは新会長のボルゲ・ブレンデ氏氏を正式に迎えます。同氏は、フォーラムの戦略と活動の着実な実行に共同で責任を負う運営委員会の議長を務めます。ブレンデ氏は、引き続き組織全体の戦略的発展に責任を持つフォーラム執行会長のクラウス・シュワブ教授と緊密に連携します。
クラウス・シュワブ氏は、ブレンデ氏の任命について次のように述べました。「世界経済フォーラムは新たな段階に入りました。これは、私たちが直面する多様な課題に取り組むため、政府、企業、市民社会の協調した取り組みが一層必要になっていることを反映しています。ボルゲ・ブレンデ氏は、国際協力におけるフォーラムの重要性をさらに高めるためのリーダーシップと政治経験を備えています。氏はノルウェーに卓越した貢献を果たし、運営委員会メンバーとして以前に務めた際にも、世界経済フォーラムの使命を重視する精神に貢献しました。」
以下に掲載するシュワブ教授の最近のインタビューは、この新たな段階と世界経済フォーラムの今後の発展について理解を深める内容です。
フォーラムの未来
世界経済フォーラム創設者兼執行会長、クラウス・シュワブ教授へのインタビュー
(2017年9月29日)
1)ノルウェーの外務大臣、ボルゲ・ブレンデ氏が世界経済フォーラムの会長に任命されたと発表されました。これは、あなたの後継問題が解決したということでしょうか。
国際機関として認定されて以来、フォーラムの規約では、執行会長と、運営全般に責任を負う会長の役割を分けています。ブレンデ氏がフォーラムに加わることは、会長職を埋めるだけでなく、ガバナンス上の要件を満たす絶好の機会です。私自身は、執行会長としてフルタイムで職務を続け、主に組織の戦略立案と理念面の指導に注力します。
2)では、あなたの後継はいつ実現するのでしょうか。
すぐということはありません。いずれその時が来ても、理事会には、組織の継続性を維持できる優れた人材がいます。
3)ブレンデ氏の任命は、あなたにとってどのような意味がありますか。
仕事量が大幅に減ります。現在、15人の同僚が私に直接報告しています。これは、効果的な経営の原則に反しています。特に、組織が急速に成長し、変化の激しい環境にある状況ではなおさらです。私はこのことを30年以上、学生たちに教えてきました。さらに、共同責任の原則は運営委員会に組み込まれています。ブレンデ氏は、さまざまな活動の連携をより円滑にしてくれるでしょう。また、コロンビアなどでの和平構築に特別な経験を持つ、非常に尊敬されている政治指導者として、政府との関係を広げ、さらに強化してくれるはずです。
4)1971年のフォーラム創設にさかのぼる、約50年にわたる成功を収めてこられました。来年には80歳を迎えます。組織として、あるいは個人として、疲れの兆候はありますか。
まったくありません。世界は、技術、経済、社会、政治の各面で、急速かつ包括的な変革のさなかにあります。この変革を形づくり、前向きな方向へ導く手助けができることは、非常に意欲をかき立てる挑戦です。それが私と世界経済フォーラムを前進させています。
5)1971年以来、毎年平均10%成長し、活動規模が7年ごとに倍増している組織の秘訣は何でしょうか。
常に未来を見据え、国際協力に新たに生じるニーズに応えることです。先駆者であることは、リスクを取ることでもあります。すべてに成功したわけではありません。しかし、私にとって何より大切だったのは、政府、企業、市民社会にとって独立かつ中立なパートナーとしての組織への信頼を強めることです。この信頼を礎に、成長を続けていきます。
6)ジュネーブ、ニューヨーク、北京、東京、サンフランシスコに約700人の職員がいます。ダボスでの年次総会を運営するために、全員が必要なのでしょうか。
もちろん違います。運営上の業務の多くは外部委託しています。ダボスは、年間を通じた取り組みの中心です。それには100を超える作業部会や、世界各地で開催される多くのテーマ別・地域別会合が含まれます。
7)ダボス以外での活動について、特にその意義を詳しく教えてください。
企業、政府、社会の間のグローバルな協力を通じてのみ解決できる主要な課題を14分野特定しました。そのためには、将来を見据えたシステム思考と、国家主体・非国家主体を問わないあらゆる関係者の連携が必要です。自動運転の未来、個別化医療によって変革される医療の未来、ロボット時代の雇用の未来などを考えてみてください。私たちの役割は、プラットフォームを提供し、システム思考を通じて世界をより緊密につなぎ、その過程で解決策を共に見いだすことです。
8)フォーラムを模倣しようとする試みは何度もありました。活動において、何が他と異なるのでしょうか。
私たちは単なる会議運営組織ではありません。1971年以来、いわゆるステークホルダーの概念を提唱してきました。私は同年に出版した本で、この概念を初めて説明しました。元来、ステークホルダーの概念とは、企業の意思決定者は株主だけでなく、顧客、従業員、環境、国家など、その企業に直接的または間接的に依存する社会集団にも責任を負うという考え方です。私たちは長年にわたり、この原則を発展させてきました。今日、特に大企業は、政府組織や市民社会とともに、地球上のステークホルダーそのものであり、世界的課題の解決に貢献する責任を負っています。フォーラムは現在、私たちが「コミュニティ」と呼ぶ枠組みを通じて、世界中の影響力あるステークホルダーの集団を長期的に結びつける、最も重要な組織となっています。企業、国際機関、政府に加え、NGO、労働組合、大学、そして私たちにとって最も重要な若者も参加しています。世界人口の50%は27歳未満であることを忘れないでください。未来がどのように形づくられるかに最も強い関心を持つのは、この世代です。私たちは、こうしたステークホルダーをすべて一つのコミュニティに結集しました。それがフォーラムを唯一無二の存在にしています。
9)昨年、世界経済フォーラムを官民協力の国際機関として認める本部協定をスイス連邦と締結しました。これはあなたにとってどのような意義がありますか。
現在、政府、企業、NGOのいずれも単独では前進できないことが明らかな分野に、取り組みを集中しています。たとえば、ブロックチェーン、人工知能、ドローン、遺伝子工学などの新技術の利用に関する原則や指針を策定するためのプラットフォームの設立など、新たな取り組みを進めています。この活動のため、サンフランシスコに独自のキャンパスを設立しました。国際機関、ビジネス界、政府の代表者が協力し、こうした技術の基盤となる条件を、人間を開発の中心に据える形で定めることを目指しています。
10)常に最新の動向を把握するには、どうしていますか。
私たちはネットワークを通じて、世界をリードする大学や研究機関とつながっており、研究分野のイノベーションの最前線を常に把握しています。フォーラムで特に活発なコミュニティの一つは、ETHチューリッヒ、ハーバード大学、MIT、オックスフォード大学など、世界で最も著名な大学30校で構成されています。また、「グローバル・フューチャー・カウンシルズ」と呼ばれる、第四次産業革命の課題に取り組む専門家ネットワークもあります。世界中の800人を超える専門家が参加し、任期2年の評議会で特定の課題を検討し、フォーラムの活動に助言しています。
11)あなたの著書『第四次産業革命』は2016年に出版され、26言語に翻訳され、ほぼ100万部を売り上げました。これほど関心を集めた理由は何でしょうか。
この本では、現在の技術発展がビジネスモデルだけでなく、ガバナンス、経済、さらには社会全体や個人までも根本的に変えることを、初めて概説しました。こうした大きな変化への備えをほとんど許さないほどの速さで、すべてが進んでいます。今年の年末には2冊目の本を出版する予定ですが、わずか2年前にはほとんど誰も知らなかったブロックチェーンやCRISPRのような技術が、すでに日常的な話題になっていることに驚いています。
12)第四次産業革命は、世界経済フォーラムの活動のあり方にどのような影響を与えていますか。
私たちは、その応用において先駆者となることを目指しています。世界の意思決定者をつなぐデジタルネットワーク「TopLink」の構築に、8桁規模の投資を行いました。ロンドンには人工知能ソフトウェアを開発するチームがあり、ジュネーブにはブロックチェーンがグローバル・ガバナンスをどのように支えられるかを研究するチームがあります。
13)今年、世界各地で少なくとも100人の新しい職員を採用しています。職員に何を求め、何を提供していますか。
フォーラムは何よりも、構想を練る仕事をする組織です。そのため、最高水準の教育を受けた人材と、最大限の多様性が必要です。職員の96%は大学卒で、ほぼ全員が一流大学の出身です。職員の平均年齢は36歳で、80か国の出身者が働いており、活気にあふれ、非常にやりがいのある職場環境を提供しています。そして「世界の現状を改善することに尽力する」という使命を日々実践しています。さらに、INSEAD、ウォートン・スクール、コロンビア大学などと協力し、グローバル・リーダーシップのエグゼクティブ修士号につながる職員育成プログラムを設けました。こうした100人超の職位に対し、年間17,500件の非常に優秀な応募が寄せられます。
14)あなたは1971年に非営利財団として世界経済フォーラムを設立しました。商業的な観点で見ると、フォーラムの年間予算は現在3億スイスフランで、世界的に知られるブランドの価値は数億に上ります。自分が所有者ではないことを、今になって後悔していませんか。
いいえ、まったく。財団である世界経済フォーラムは公共に属しています。営利組織であれば、その活動に不可欠な信頼を築くことは決してできなかったでしょう。私は職員で、給与は、ちなみに、国立銀行や州立銀行などスイスの公的機関の長の給与水準の範囲内に収めるよう、フォーラムの規則で定められています。それで十分に暮らせます。
15)でも、あなたの妻も世界経済フォーラムで働いているのではありませんか。
そうです。彼女は私の最初の職員でした。ただし、1973年以降は職員ではなく、無報酬で働いています。
16)彼女はどのような役割を担っていますか。
主に文化や社会の課題に携わっており、活動の場はフォーラム内に限りません。たとえば最近、国連開発計画(UNDP)の上級諮問委員会に任命されました。同計画の使命は、社会開発プロジェクトの有効性と持続可能性を高めることです。
17)財務諸表によると、世界経済フォーラムは多額の準備金を保有しています。つまり、強固な財務基盤があるということでしょうか。
まず、準備金のかなりの部分は、新たな取り組みのための引当金です。これらの取り組みは8月に理事会が承認したもので、ジュネーブ本部とサンフランシスコにあるフォーラムのテクノロジー・キャンパスのさらなる拡張も含まれます。私たちのような組織は、借入れではなく自己資本で拡張を賄わなければなりません。さらに、激動する世界では、いかなる場合にも独立性と職員に対する責任を維持できるよう、あらゆるリスクに備える必要があります。
18)フォーラムはどのような財務監査を受けていますか。
会計はまずスイスの公的会計基準を満たす必要があり、世界最大級の監査法人の一つによる審査を受けます。監査人は、財務経験を持つ独立したメンバーで構成される理事会の監査委員会に報告します。さらに、年次損益計算書と貸借対照表を、財団を監督する国家機関に提出します。財務部門全体には、米国内国歳入庁(IRS)への年次報告義務もあります。これは、2016年にIRSから米国での免税資格を認められたことで、米国子会社を財務・会計上統合できるようになったためです。
19)あなたは公の場にほとんど姿を見せません。エリザベス女王からナイトの称号を授与されたこと、ドイツ、日本などから最高位の勲章を受けたこと、通常の博士号2つに加えて学術的功績により名誉博士号を16個授与されたことを知る人はほとんどいません。なぜこれほど控えめなのでしょうか。
知的な功績を認められ、学術的な賞を受けたことは、もちろんうれしく思います。しかし、私はいつもフォーラムの未来について考えなければなりません。私にとっては、個人的な栄誉よりも、組織とその大きな取り組みの方が重要です。
20)それでも、あなたや世界経済フォーラムがしばしば批判を受けているのは事実ではありませんか。
今日、世界経済フォーラムは世界中で知られ、概ね肯定的に受け止められているブランドです。特にアジア、アフリカ、南米の多くの国々では、私たちが数十年にわたり、大陸の経済発展だけでなく社会開発にも貢献してきたことが認められています。
21)世界経済フォーラムに加えて、あなたはほかに3つの財団を設立しました。その目的と重要性は何でしょうか。
特に誇りに思っているのは、20歳から29歳の若い世代を参加させるグローバル・シェイパーズ・コミュニティです。現在、世界各地に400を超える地域拠点があり、たとえば毎年、地域社会のために具体的な課題を一つ設定して取り組んでいます。例としては、アルメニアのエレバンで生徒350人が通う地元の学校に体育館を建設したり、バングラデシュのダッカで公共施設を改修し、障害のある人が利用しやすくしたりしています。ほかにも何百もの例を挙げられます。ヤング・グローバル・リーダーズ・フォーラムには、主に30歳から40歳の幹部が参加しています。社会起業家、つまり利益ではなく、健康や環境分野の改善など社会問題に対する革新的な解決策を第一の目的とする人々を支援するため、妻のヒルデと私は1998年にシュワブ社会起業財団を設立しました。これまでに350人の社会起業家を支援してきました。これら3つの財団により、私たちはグローバルな視点を持ちながら地域の課題とつながり続け、現場の人々との接点を失わずにいられるのです。
22)世界経済フォーラムは、国際的に大きな影響力を持つメディア企業にもなりました。何を目的としているのでしょうか。
そのとおりです。大きな世界的課題に注目を集め、対話に一般の人々も加わってもらいたいと考えています。例を挙げましょう。最近公開した動画「森林破壊への反撃」は380万人に届き、9万6,000回を超えるシェアと6万2,000件の「いいね」を獲得しました。私たちはメディアで最も広く取り上げられる国際機関の一つで、Facebookのフォロワーは450万人を超えます。8月にはフォーラムの動画が5,500万回以上視聴され、毎週350人の外部執筆者が寄稿する「アジェンダ」ウェブサイトには400万回を超える訪問がありました。さらに、Twitterでは320万人がフォローしています。
23)フォーラムの理事会は8月下旬、ジュネーブで2日間の会合を開きました。IMFのクリスティーヌ・ラガルド氏、世界銀行のジム・ヨン・キム氏、イングランド銀行のマーク・カーニー氏、米国副大統領を務めたアル・ゴア氏(1993~2001年)などが名を連ねるこの機関は、どのような役割を担っているのでしょうか。
理事会はフォーラムの意思決定機関です。フォーラムの戦略を定め、最も重要な人事・財務上の決定も承認します。理事会には、私たちのステークホルダー概念が反映されています。メンバーのおよそ3分の1は企業、3分の1は学術界と市民社会、残る3分の1は国際機関と政府の代表者です。おっしゃるとおり、8月の会合は2日間にわたりました。皆さんがどれほど多忙かをご存じなら、その献身の大きさを想像できるでしょう。
24)これまでを振り返って、特に誇りに思うことは何ですか。
いわゆる成果は数え切れないほどあります。なかでも特に誇りに思うのは、フォーラムから世界規模の命を救う取り組みが3つ生まれたことです。第一に、世界ワクチン予防接種同盟(GAVI)は、5億8,000万人の子どもに予防接種を行い、800万人の死亡を防ぎました。第二に、エイズ、結核、マラリアと闘う世界基金です。第三に、今年初め、7億ドルの初期資金を得て感染症流行対策イノベーション連合(CEPI)が発足しました。これらに加え、私が関与してきた世界各地の数多くの和解プロセスもあります。特に、南アフリカのアパルトヘイト終結後、ドイツ再統一の過程、イスラエル・パレスチナ紛争での取り組みです。そして何より、1988年にはフォーラムの仲介によってトルコとギリシャの戦争が回避されました。
25)ここ数十年の偉大な指導者のほとんどに会ってきたそうですね。彼らに共通するものは何でしょうか。また、特に印象に残ったのは誰ですか。
指導者には知性、魂、心、そして胆力が必要です。別の言い方をすれば、高い専門性、ビジョンと結びついた道徳的価値観、情熱と共感力、実行力、そして先ほど述べた胆力です。この5つの基準を本当にすべて満たす人が大勢いれば理想的です。私が出会った中では、ネルソン・マンデラ氏と現教皇のような方はごくわずかです。お二人の深い謙虚さを高く評価しています。
このインタビューの短縮版は、スイスのビジネス誌『Bilanz』にドイツ語で掲載されました。
