腐敗との闘いは、人々が下から協力し合うことで最もよく行われる、とハーバード大学のモハメド・エル・ダシャンは書いている。
1990年代、ウガンダは腐敗が極めて深刻で、政府が全国の学校に交付する100ドルのうち、目的地に届くのは20ドルだけで、途中で何らかの形で80ドルが消えてしまうほどだった。そこで財務省は新しい手法を試みることにした。地元メディアに情報を提供し、学校で交付額を示すポスターを掲示したのである。今回は、資金の90%が目的地に届いた。
ここには主な教訓が二つある。一つは、この問題が、慣行を禁止するという上からの決定によって解決されたのではなく、むしろ情報を公開して市民に力を与えることによって解決されたという点である。もう一つは、勇気ある政府幹部のエマニュエル・トゥムシイメ=ムテビレ氏がこの問題に向き合うことを決断しなければ、問題は未解決のままだったかもしれないという点である。同氏は、腐敗を隠蔽するのではなく、腐敗を公表することによる政治スキャンダルのリスクを冒した。
開発のための透明性を機能させることは、特に途上国において、国連の 腐敗防止条約や、WTOの 政府調達に関する協定のような合意への署名からは生まれない。それは市民に力を与えることから生まれる。すなわち、一般市民に市民および公務員の権利と義務を知らせ、政府の文書や手続きを公開して公的な監視を可能にすることである。
これを端的に表す言葉がある。オープン・ガバメントである。
オープン・ガバメントの取り組みは先進国だけのものではなく、実際、最も興味深い取り組みの一部はグローバルサウスから生まれている。例えば、 チュニジアのOpenGov イニシアチブの憲章を見てみよう。その目標は、「公共事業の運営における完全な透明性と市民参加を推進し、公正で民主的かつ繁栄した社会への権利を保障すること」と定義されている。これは市民主導のイニシアチブであり、制憲議会の複数の議員の支持を得ており、一連の公的キャンペーンやイニシアチブを開始して、透明性に対する国民の認識をすでに変えつつある。
こうしたビジョンが実現すれば、今後登場する専門機関を含め、より広範な国民的基盤が生まれ、国家の活動をより的確に精査して、賞賛や批判を行うとともに、最終的には解決策やアイデアの提供に貢献できるようになる。また政府自身も、自らの弱点、すなわちどの部署が他の部署の業務を妨げているかを把握できるようになる。
しかし、こうしたビジョンの実現は容易ではない。トゥムシイメ=ムテビレのような人物がどの国にもいるわけではなく、多くの公務員は政府の取引の不透明さから利益を得ている。この不透明さを合法化しようとする動きもある。例えば筆者の母国エジプトでは、政府が最近、強引に可決した 憲法 では、大統領が監督・規制機関の長を任命できる権限が与えられており、その結果、これらの機関を、監督すべき行政府に従属させ、存在意義そのものを損なっている。
透明性を通じて世界中の開発を支援しようとするなら、人々が市民として政府を監督する役割を理解し、アクセスできる情報を把握して、その選別方法を学べる環境を育む必要がある。そうして初めて、腐敗を抑制し、政府に対して、一部の少数層ではなく国民全体の生活環境を改善するよう迫ることができるのである。
著者:モハメド・エル・ダシャンは、ハーバード大学国際開発センターの上級研究員である。同氏は 世界経済フォーラム2013年次総会(ダボス会議)に参加している。
画像:路上を横断するビジネスマンの影 REUTERS/Daniel Munoz
