分子外科手術で壊れた遺伝子を修復できるか?

分子外科手術で壊れた遺伝子を修復できるか?
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科学とは問いを立てることです。60年前の問いは、私たちの遺伝暗号はどのような形をしているのか、というものでした。次に、DNAを構成する遺伝子は何個あるのか。その後、どの遺伝子が病気を引き起こすのか。

現在の問いは、壊れた遺伝子を修復できたらどうなるか、というものです。

DNAに含まれる病気を引き起こす誤りを正すことは、何十年にもわたる医師と科学者の目標でした。ゲノム編集と呼ばれる新しい技術により、その目標の実現がより近づいています。

現在、5,000以上の遺伝子が遺伝性疾患を引き起こすことがわかっていますが、その大半には治癒法も治療法もありません。これらの疾患こそ、ゲノム医療、特に最新かつ最も強力なゲノム編集技術であるCRISPR(「クリスパー」と発音)から最大の恩恵を受けると期待されています。

CRISPRのような技術により、多くの重篤で生命を脅かす疾患が治療できるようになることを期待しています。たとえば、肺と消化器系を侵す嚢胞性線維症、筋疾患であるデュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)、衰弱を招く血液疾患である鎌状赤血球症などです。

これらの疾患の患者における遺伝的欠陥を「修正」することで、遺伝子本来の機能を回復させ、生活の質を大きく改善できると期待しています。DMD患者にとっては歩行や呼吸がより良くできるようになることを、嚢胞性線維症の患者にとっては呼吸がより楽になることを、鎌状赤血球症の患者にとっては疾患による痛みを伴う発作の軽減を意味する可能性があります。

CRISPRは使いやすく、多様な環境や多様な種類の細胞においてDNAを変化させることができるため、科学研究コミュニティを席巻しました。科学者たちは現在、さまざまな遺伝子の働きや、それらがどのように連携するかを、はるかに迅速かつ包括的に調べることができます。

CRISPRは、小型ガイドRNA分子に結合するCas9と呼ばれる、プログラム可能な分子機械(酵素)に依存しています。これらの構成要素が協働して標的遺伝子に到達し、遺伝的変化を生じさせる精密な分子の「手術」を行います。これは遺伝性疾患を引き起こす欠陥を修正するために用いることができます。この技術はまだ若く、この可能性を十分に実現するには時間がかかるでしょう。疾患によっては他より難しいものもあり、CRISPRの能力をさらに広げるためには多くの作業が必要です。

しかし、私たちはゲノム科学の理解において分水嶺に立っています。さまざまな疾患を引き起こす変異の多くを特定したことに加え、それらの変異を直接標的にして修正する新たな医薬品を生み出す可能性をもつ技術も見出しました。

さらに重要なのは、壊れた遺伝子を修復することで、かつては治療できなかった病態を 治療可能な ものにできる段階に近づきつつあることです。

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執筆者:Katrine Bosleyは Editas MedicineのCEO、Sandra GlucksmannはCOOです。同社は世界経済フォーラムの テクノロジー・パイオニアです。

画像:固有の「2DID番号」を示す空のサンプルチューブが、Biobankで充填されるのを待っています。撮影日は2010年3月18日です。Special Report SCIENCE/GENOMEに関連する写真、REUTERS/Phil Noble。

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