脳腫瘍には、ほとんどの薬剤が到達しにくいことで知られている。しかし、イェール大学の研究者らは、脳腫瘍に対する有望ながら意外な新たな味方を見いだした。それは、致死性ウイルスであるエボラに似たウイルスの一部だ。
エボラと同様に、アフリカの一部地域で見られる出血熱ウイルスであるラッサウイルスに含まれるタンパク質を持つウイルスは、強固な血液脳関門を通過しただけでなく、マウスの脳腫瘍を破壊した。この研究は4月16日、『Journal of Virology』に発表された。
「このキメラウイルスは、動物に対して完全に安全であることが分かり、脳内のがん細胞を特異的に標的とする傾向がありました」と、イェール大学医学部の脳神経外科教授で、イェールがんセンターの研究者でもあり、本研究の筆頭著者であるTony van den Polは述べた。
研究者らは長年、狂犬病ウイルスの近縁種であるVSVウイルスに関心を寄せてきた。このウイルスは、脳を保護する膜を通り抜け、脳腫瘍に感染することができる。しかし、改変されていないウイルスは、深刻な神経学的損傷を引き起こす可能性がある。イェール大学の研究チームは、VSVの一部を無関係なウイルスの一部と組み合わせ、マウスの脳腫瘍への攻撃に安全に利用できるかを調べようとした。エボラ遺伝子を含む改変ウイルスなど、試験したウイルスの一部は脳腫瘍に到達したものの、効果的に攻撃することはできなかった。一方、改変ラッサウイルスは、安全かつ効果的に脳内のがん細胞を標的とし、破壊した。このラッサキメラウイルスは、神経膠腫と、脳へ転移することのある別の種類のがんであるメラノーマの両方を標的とした。
「複数のウイルスの遺伝子を含む、こうした新たなキメラウイルスに大きな期待を寄せています。動物のがんを標的とするうえでよく機能しており、ヒトで試験した場合にも効果を発揮することを期待しています」とvan den Polは述べた。
この論文のほかの著者は、Guido Wollmann、Eugene Drokhlyansky、Connie Cepkoである。
本研究は、NIHの国立がん研究所から資金提供を受けた。
本記事は YaleNewsとの協力により掲載している。掲載は、世界経済フォーラムによる見解への賛同を意味するものではない。
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著者:Bill HathawayはYaleNewsの寄稿ライター。
画像:ノースベンガル腫瘍センターで、がん予防のための健康診断を受けた患者の脳のX線画像を放射線科医が確認している。REUTERS/Rupak De Chowdhuri。
