抗生物質耐性との闘いにAIが貢献できる方法

AI has the potential to help in the discovery of new antibiotics, and design new drugs quickly and accurately.
AI has the potential to help in the discovery of new antibiotics, and design new drugs quickly and accurately.Image: Unsplash
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  • 研究によると、抗生物質耐性感染症は現在、世界の主な死因の一つとなっています。

  • 世界保健機関(WHO)は、2050年までにこうした感染症で1,000万人が死亡すると推計しています。

  • AIは、新たな抗生物質の発見を支援し、新薬を迅速かつ正確に設計する可能性を秘めています。

  • 研究者によると、AIは創薬を強化したり迅速化したりするツールとして活用できますが、科学者や医師に取って代わるものではありません。

1920年代後半にペニシリンが発見されて以来、抗生物質は「医学に革命をもたらし、何百万人もの命を救ってきました」。しかし残念ながら、抗生物質の有効性は現在、世界的に増加する抗生物質耐性菌によって脅かされています。

抗生物質耐性感染症による死者は、最大で年間120万人に上り、主な死因の一つとなっています。

抗生物質耐性の危機には、いくつかの要因が関わっています。その要因には、治療における抗生物質の過剰使用や不適切な使用があります。さらに、製薬会社は、過度な規制を受け、新薬開発への意欲をそがれています。

世界保健機関(WHO)は、2050年までにこうした感染症で1,000万人が死亡すると推計しています。

抗生物質耐性感染症の影響は広範囲に及びます。細菌感染症を効果的に予防・治療できなければ、臓器移植、化学療法、帝王切開などの医療処置ははるかに危険になります。それは、細菌関連感染症の重症度が増しているためであり、治療されない感染症はさまざまな健康問題を引き起こす可能性があります。

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新たな抗生物質の発見

抗生物質は、病気の原因となる細菌を攻撃して治療します。細菌を破壊するか、増殖を阻止することで治療効果を発揮します。

新たな抗生物質の発見は、何百万人もの命を救う可能性があります。新しいクラスの抗生物質が最後に発見されたのは1984年です。しかし、真に新しい抗生物質を見つけるのは容易ではありません。前臨床開発に進んだ抗生物質のうち、患者に届くのは15種類に1種類にすぎません。

新薬の開発には多額の費用がかかり、時間も長くかかることが少なくありません。また、新薬を市場に投入し、利用しやすくする過程にも大きな課題があります。

ここで人工知能(AI)が役立ちます。研究者はAIを使って、候補薬を迅速かつ正確に設計・評価できます。

抗生物質は、病気の原因となる細菌を攻撃し、細菌を破壊するか増殖を阻止することで治療します。Image: Unsplash/Towfiqu barbhuiya

創薬設計におけるAIの役割

近年、創薬設計と発見にAIを活用する研究が急増しています。AIは、現在入手可能なものとは構造が異なり、幅広い細菌に有効な新たな抗生物質を特定できます。

より効果的な抗生物質を発見するには、耐性の構造的基盤を理解する必要があります。そして、この理解を基に、合理的な設計原則を導き出せます。効果的な第2世代抗生物質の開発では、第1世代の薬剤を最適化することがよくあります。

医薬品開発では、化合物の各世代の開発と評価に多額の費用が投じられます。研究者はAIツールを使い、コンピューター自体に学習させることで、こうした新薬を迅速かつ低コストで発見する方法を見つけられます。

人工知能はすでに、新たな抗生物質の発見で有望な成果を示しています。2019年、研究者はディープラーニングを用いて、広域抗生物質ハリシンを特定しました。ハリシンは以前、糖尿病治療薬としての臨床試験で失敗していましたが、AIは別の用途を示唆しました。

人工知能を使って、このような有望な抗生物質を早期に特定できたことから、幅広い細菌に効果を発揮する可能性のある広域抗生物質をさらに多く特定できるかもしれません。これらの薬剤は、なお臨床試験を受ける必要があります。

米国国立衛生研究所の研究者は、AIの予測能力を活用し、将来の抗生物質を選定するプロセスを加速させるAIの可能性を示しました。

AIを訓練すれば、新薬のスクリーニングや発見をはるかに速く行えます。コンコルディア大学の私たちの研究室では、この手法を使って細菌RNAを標的とする抗生物質を特定しています。

アルゴリズム学習

研究者は、ZINCのようなデータベース(バーチャルスクリーニングに利用できる、市販の化学物質を集めたもの)のデータを使うアルゴリズムを設計し、分子とその特性の関係を解明します。AIモデルはデータベースから情報を抽出し、パターンを分析します。

アルゴリズムによって作成されたモデルは、既存のデータで訓練されます。AIは膨大なデータを迅速に調べ、分子の内容や構造に見られる重要なパターンを把握できます。

現在のモデルには、細菌のタンパク質と抗菌剤がどのように相互作用するかを正確に予測する可能性があることが分かっています。しかし、AIの予測能力を最大限に高めるには、さらに改良を重ねる必要があります。

AIの限界

研究者は、AIモデルの可能性をまだ十分に探究できていません。計算能力の向上など、さらなる進歩があれば、AIは科学における重要なツールになり得ます。創薬研究へのAIの活用も、細菌感染症を治療する新たな抗生物質の発見も、現在進行中の取り組みです。

人工知能がリード化合物を予測し、正確に特定する能力は、有望な成果を示しています。

強力なAI手法を活用しても、新薬の発見は容易ではありません。AIは、研究課題に対する答えを特定または予測することで研究に貢献するツールであることを理解する必要があります。

AIは今日、多くの産業で導入され、すでに世界を変えつつあります。しかし、科学者や医師に取って代わるものではありません。AIは、創薬プロセスを強化したり迅速化したりするために、研究者を支援できます。

この手法を十分に活用できるようになるまでには、まだ道のりがあります。それでも、AIが医薬品の発見・開発のあり方を大きく変えることは間違いありません。

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