アルツハイマー病は世界的なパンデミックとなる恐れがあり、患者数は2050年までに3倍の1億5,200万人に達すると予測されています。
テクノロジーが役立つかもしれません。安価なバイオマーカー、すなわち「予防的かつ個別化されたリスク指標」の開発により、より効果的な診断・治療法が生まれる可能性があります。
しかし、解決策の一部となるのは、複数の治療法を組み合わせること、そして介護負担全体を考慮することです。
認知症とアルツハイマー病は世界で4,700万人以上に影響を及ぼし、本人、介護者、社会に甚大な負担をもたらしています。2018年、この病気による世界全体の損失は1兆2,500億ドルに上りました。人口の高齢化が進むなか、アルツハイマー病は健康と社会にとって時限爆弾となっています。大きな進展がなければ、影響を受ける人の数は2050年までに3倍の1億5,200万人に達するでしょう。
治療法がないなか、その開発に向けて研究に多額の投資が行われています。この目的だけで、米国では年間28億ドルが費やされています。しかし、アルツハイマー病をめぐる課題は治療法や診断にとどまりません。予防、介護、資金調達も重要な要素です。資金の確保に加え、個人の負担額や薬へのアクセスも課題となります。
需要と供給能力の不均衡
より多くの人が長生きし、医療・介護や社会的ケアのニーズが高まる一方、新薬やテクノロジーが開発されるにつれて、急増する医療需要と期待に供給が追いつかなくなるでしょう。世界では需要と供給能力の不均衡が、加齢に関連する非感染性疾患をめぐって生じています。
ほとんどの医療制度が病院での事後対応型ケアを重視する一方で、より広範な介護負担、たとえば労働の将来への影響には十分な注意が払われていません。高齢者と若年の扶養家族の双方に時間を割かなければならない人が増えるなか、薬が利用可能になった際に、誰もが手頃な価格でアクセスできるようにすることも難しいでしょう。
早期発見には多くの取り組みが注がれてきましたが、症状が現れてから発症が目に見えるようになるまでには大きな隔たりがあります。この病気は、症状として現れる何十年も前に始まる傾向があります。そのため、臨床試験に投資が行われている一方、実際の課題はさらに広範であり、認知行動、免疫学、遺伝学の大規模な研究が必要です。
これまでのところ、考えられる予防策には限界があります。世界保健機関(WHO)のガイドラインは、運動、認知療法、高血圧などのリスク要因への対処を示していますが、そうした健康上の要素は、対策を講じるには遅すぎる段階にあることを指摘する傾向があります。将来の世代にとっては意義がありますが、現在の高齢者は依然として、治療も予防もできないパンデミックに直面しています。研究では、幼少期の教育も原因要因として挙げられていますが、これに対処する戦略の実施は極めて限られています。
テクノロジーへの信頼は?
テクノロジーが役立つかもしれません。安価なバイオマーカー(予防的かつ個別化されたリスク指標)の開発により、より効果的な診断・治療法が生まれる可能性があります。しかし、解決策の一部となるのは、おそらく複数の治療法を組み合わせることでしょう。
世界で最も費用のかかる慢性疾患に、力を合わせて立ち向かう
世界経済フォーラムとグローバルCEOイニシアチブ(CEOi)による新たなパートナーシップの発足は、ダボスで開催された年次総会で転機となりました。このパートナーシップは、製薬メーカー、バイオテクノロジー企業、政府、国際機関、財団、研究機関など、官民の関係者が集う連合体です。アルツハイマー病との闘いを、力を合わせて前進させます。
バイオマーカー研究を加速する仕組みの検討、公的・民間・慈善資金の呼び込み、臨床試験の世界的な実施能力と成果の向上、そして医療制度が病気を発見・診断・治療するための準備態勢の強化に取り組みます。
科学者たちが治療法の発見に取り組み続ける一方で、アルツハイマー病と認知症の課題に対処するには、より広範な行動が必要です。世界で高齢化が進むなか、すでに最も費用のかかる慢性疾患となっているこの病気が招く健康危機を和らげなければなりません。
