新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、現代において世界社会が直面した最大級の健康・経済上の課題の一つです。国や地域全体で渡航を制限し、人々に自宅待機を求めるなか、世界の旅行・観光(T&T)産業は事実上、停止状態に陥っています。世界旅行ツーリズム協議会によると、この産業がGDPの10.2%1を占めるラテンアメリカ・カリブ海地域では、深刻な影響が生じています。したがって、危機がT&Tに及ぼす影響の緩和に協力し、産業を回復へと導くため、地域の関係者が連携することはかつてないほど重要です。
こうした背景から、世界経済フォーラムは「ラテンアメリカ・カリブ海地域の旅行・観光競争力ランドスケープ報告書」を発表しました。本書は、フォーラムが長年刊行している「旅行・観光競争力報告書」シリーズの一環として、「旅行・観光(T&T)セクターの持続可能な発展を可能にし、それによって国の発展と競争力に寄与する一連の要因と政策」を地域の視点から考察しています。T&Tの競争力に影響する要因をより深く理解することで、官民連携を適切に調整し、経済発展や中小企業の成長を促し、貧困を削減し、労働力におけるジェンダー平等を一層推進するという産業の潜在力を最大限に引き出すことができます。さらに、適切に策定された競争力戦略を活用すれば、現在の危機がもたらす機会を生かし、より持続可能で強靱なT&T産業を築くことができます。その産業は、将来の逆風によりよく備えられるでしょう。このため、本報告書のテーマは「新型コロナウイルス感染症の状況下における地域の機会と課題の評価」です。
