世界経済フォーラム 広報統括(日本)栃林直子 naoko.tochibayashi@weforum.org
2026年9月16日、スイス、ジュネーブ – 世界経済フォーラムが、世界のジェンダー・ギャップの評価について公表を開始してから20年が経過し、世界は今、かつてないほどジェンダー・パリティに近づいています。一方、進展は依然として脆弱であり、一部の分野では改善が後退しています。『グローバル・ジェンダー・ギャップ・レポート2026』によると、女性が企業や政府の要職に就く割合は、2006年当時と比べて大きく上昇しています。一方で、経済・政治面で最も大きな影響力を持つ役職では、依然として女性の登用が限られています。
第20版となる本レポートは、この種の指標として最も長い歴史を持つもので、「経済参加」、「教育」、「医療へのアクセス」、「政治参加」の4つの分野について、145の経済圏を評価しています。世界全体では、ジェンダー・ギャップの69.2%が解消されました。100%が完全な平等を示す中、昨年から0.4ポイント上昇しています。
2006年以降評価してきた97の経済圏では、ジェンダー格差の解消率が5.2ポイント上昇して69.4%となり、過去最高を記録。一方、「経済参加」(61.7%)および「政治参加」(22.1%)は、平等の実現から最も遠い分野です。現在の進展ペースが続いた場合、すべての指標で完全なジェンダー・パリティが実現するまでには、なお120年かかる見通しです。
「20年にわたるデータは、ジェンダー・パリティが実現可能であることを示しています。あらゆる所得水準の経済圏で進展が見られていることから、ジェンダー・パリティの実現を阻むのは、取り組むための手段がないことではありません」と、世界経済フォーラム常務取締役、サーディア・ザヒディは述べています。「ジェンダー・パリティは、成長と競争力の基盤です。しかし、その実現は決して約束されたものではありません。進展を加速させるためには、政府と雇用主が、効果が実証されている政策から学び、その実行をより迅速に進める必要があります。新たな経済には、人材に対する新たなアプローチが必要なのです」。
アイスランドは、ジェンダー・ギャップの93%を解消し、17年連続で本レポートのランキング首位となりました。同国は、ジェンダー・ギャップの90%超を解消した唯一の国でもあります。
フィンランド(87.2%)とノルウェー(85.7%)は、3年連続でそれぞれ2位と3位となりました。ナミビア(84.5%)は順位を4つ上げて4位となり、サハラ以南のアフリカで最も順位の高い国となりました。これに続くのは、英国(84.2%)、ニュージーランド(82.8%)、スウェーデン(82.3%)、オーストラリア(81.9%)、ドイツ(81.7%)、アイルランド(81.4%)です。
オーストラリアは、初めてトップ10入りを果たしました。2006年以降、すべてのトップ10にランクインしている経済圏は、アイスランド、フィンランド、ノルウェー、スウェーデンの4つです。
進展は段階的に進んできました。改善のペースはパンデミック前にピークを迎え、当時は調査対象となった経済圏の76%で進展が見られました。その後、広範な後退が生じましたが、2024年以降、指数の対象となる経済圏の半数以上が再び進展の勢いを取り戻しています。今年のランキングで最も順位を上げたのは、ケニア(65位、33ランク上昇)、ガーナ(56位、32ランク上昇)、グアテマラ(50位、31ランク上昇)、アンゴラ(87位、30ランク上昇)、チェコ(77位、25ランク上昇)です。
2006年以降、ジェンダー・ギャップの解消を最も進めた経済圏は、ボリビア、チリ、エクアドル、フランス、グアテマラ、アイスランド、メキシコ、ナミビア、ネパールです。これらの国々では、それぞれジェンダー・ギャップが少なくとも12ポイント解消されました。
2006年以降、調査対象となっているほぼすべての経済圏で改善が見られました。また、この指標の最初の10年間は、後半の10年間よりも速いペースで進展。過去20年間で最も大きく改善したのは「政治参加」であり、全期間を通じて調査対象の経済圏で、8ポイント上昇しました。2006年には、男性閣僚8.1人に対して女性閣僚は1人でしたが、現在は男性閣僚4.3人に対して女性閣僚が1人となっています。議会における男女比も、2006年には女性議員1人に対して男性議員5.6人でしたが、現在は女性議員1人に対して男性議員およそ3人となっています。
一方、「政治参加」は、後退の兆候が最も明確に表れている分野でもあります。現在のスコアは2016年を下回っており、過去1年間でもさらに0.4ポイント低下しました。最上位の指導者層に目を向けると、本レポートの継続比較対象である97の経済圏のうち、女性が国家元首を務める経済圏の割合は、2022年に27%に達しました。これは過去半世紀で最も高い水準でしたが、その後、2016年の水準まで低下し、2020年代前半に見られた進展が失われています。
欧州はジェンダー・ギャップの75.7%を解消し、地域別ランキングで再び首位となりました。2006年以降、ジェンダー・ギャップの解消率は7ポイント上昇しています。本指標の世界ランキングでは、トップ10のうち7つを欧州の経済圏が占めています。また、欧州は「政治参加」(37%)で世界をリードしており、国家元首における男女格差の解消率は、2006年以降3倍に上昇しました。
北米は75.2%で2位となりました。カナダのスコアが改善した一方、米国のスコアが低下したことから、地域別ランキングで首位の座を欧州に譲り、スコアは前年から0.6ポイント低下しました。北米は、「経済参加」(77.1%)と「教育」(100%)で世界をリードしています。一方、「政治参加」のスコアは3.3ポイント低下しており、主な要因は、閣僚に占める女性の割合が低下したことです。
中南米・カリブ海地域は74.5%で3位となり、「医療へのアクセス」(97.7%)で世界をリードしています。同地域は、長期的に最も速いペースで進展している地域ですが、現在のペースでは、ジェンダー・ギャップが完全に解消されるまでに、なお60年を要する見込みです。2006年以降、ジェンダー・ギャップの解消率は8.6ポイント上昇しており、地域別では最大の改善幅となっています。
東アジア・太平洋地域は70.3%で4位に上昇。ニュージーランドとオーストラリアがともに世界ランキングのトップ10入りを果たしました。同地域は、「経済参加」(71.4%)で世界第2位のスコアを記録しています。
中央アジアは70.0%で5位となりました。2006年以降、スコアは2.9ポイント改善していますが、現在の進展ペースが続いた場合、完全なジェンダー・パリティの実現までに最も長い時間を要する地域になると予測されています。
サハラ以南のアフリカ諸国は68.8%で6位となり、スコアは前年から1.6ポイント上昇しました。ナミビアが世界4位となる一方、地域内の経済圏による進展の差は、世界で最も大きくなっています。長期的に最も大きな進展が見られたのは、議員、政府高官、管理職における男女格差の解消で、2006年以降28.7ポイント上昇しました。
南アジアは64.5%で7位となり、「経済参加」(40.9%)では引き続き、地域別で最も低いスコアとなっています。2006年以降、「教育」のスコアは15ポイント上昇し、地域別で最大の伸びを記録しました。現在では、ほぼすべての経済圏で、高等教育への進学率が男女同等の水準に達しています。
中東・北アフリカは62.5%で8位となり、前年から0.2ポイント改善しました。「教育」におけるジェンダー・ギャップは3%未満に縮小しています。一方、「政治参加」におけるジェンダー・パリティは11.5%にとどまり、地域別で最も低い水準となっています。
リンクトイン・エコノミック・グラフ・リサーチ・インスティテュート(LinkedIn Economic Graph Research Institute)のデータに基づく本レポートの分析によると、62の経済圏では、2024年以降、経営トップ層に占める女性の割合が平均30%未満にとどまり、こうした役職を担う候補者層も狭まっています。採用データを継続的に収集している16の経済圏では、経営トップ層に新たに採用された人に占める女性の割合が、2022年以降、毎年低下。2026年上半期には、34.8%から32.3%に低下しました。また、経営幹部層に占める女性の割合は、最高経営責任者(CEO)で19.1%、最高財務責任者(CFO)と最高執行責任者(COO)で約4分の1となっています。これらは通常、最高経営責任者(CEO)への昇進につながる主要なキャリア経路です。一方、最高人事責任者(CHRO)および最高ピープル責任者(CPO)では女性が約3分の2を占めるのに対し、最高情報責任者(CIO)では5人に1人未満、最高技術責任者(CTO)では10人に1人未満にとどまっています。
同様の傾向は、政府の要職にも見られます。女性が閣僚を務めるポストの数は2008年以降26%増加しましたが、政策決定に大きな影響力を持つポストに占める女性の割合は、当時も現在も10件に1件程度にとどまっています。これは、人材が不足しているのではなく、重要な役職への登用に障壁があることを示しています。
世界銀行の「女性・ビジネス・法律(Women, Business and the Law)」プロジェクトのデータによると、各国政府は過去数十年にわたり、ジェンダー平等に関する法的枠組みを大幅に拡充してきました。特に、2000年代初頭から改革が活発化し、世界で実施された改革の96%は、女性の法的権利を拡大するものでした。ただし、改革の進展は地域によって異なり、それぞれの地域固有の時期や優先課題を反映した軌跡をたどっています。全体として、欧州、北米、中南米・カリブ海地域では、1990年代から2000年代にかけて多くの改革が実施されました。
中東・北アフリカでは改革の開始時期が遅かったものの、その後、取り組みが段階的に拡大し、今世紀に入ってからは、改革が最も活発に進められている地域となっています。
リンクトインのデータによると、女性が占める割合は、同程度の規模のAI関連企業以外の企業と比べ、AI関連企業の方が、あらゆる職位で低くなっています。個人貢献者レベルでは、AI関連企業が36.6%、AI関連企業以外の企業が44.8%、経営トップ層では、それぞれ25.3%と27.7%でした。AI関連職種では、女性はデータアノテーションなど、比較的低賃金であることの多い職種に集中しています。一方、AIエンジニアに占める女性の割合は19.3%にとどまります。AIエンジニアリングのスキルを持つ女性創業者の割合は、2019年の2.3%から、2026年上半期には8.7%に上昇しました。しかし、男性の進展のペースは依然として女性を上回っています。
「リーダーシップにおけるジェンダー・パリティに向けた進展は、4年連続で停滞しています。現在の傾向が続けば、今日生まれた女児が生涯のうちに、指導的立場において女性と男性が同等に代表される状況を目にすることはできないでしょう。AI関連職種で働く女性にとって、この課題はさらに深刻です」と、リンクトインの欧州・中東・アフリカ・中南米地域担当マネージング・ディレクター兼グローバル公共政策・エコノミックグラフ責任者、スー・デューク氏は述べています。「ただし、女性のキャリア形成を阻む根強い障壁に取り組むことで、この傾向を変えることは可能です。必要なのは、スキルへのより効果的な投資、能力に基づく採用、そして非線形のキャリアを当たり前のものとして受け入れることです」。
「グローバル・ジェンダー・ギャップ・レポート」について
今回で第20版となる「グローバル・ジェンダー・ギャップ・レポート」は、「経済参加」、「教育」、「医療へのアクセス」、「政治参加」の4分野におけるジェンダー・パリティを評価しています。2026年版では145の経済圏を対象とし、2006年以降のすべての版に含まれる97の経済圏からなる継続的な比較対象を用いて、長期的な傾向を分析しています。2006年に初めて発表されて以来、一貫した方法論に基づいて作成されており、この種の指標として最も長い歴史を持ちます。スコアは、各経済圏が解消したジェンダー・ギャップの割合で示され、100%が完全なジェンダー・パリティを意味します。
本レポートは、世界経済フォーラムのプラットフォームである「2030年に向けたグローバル・ジェンダー・パリティ・スプリント」を支援しています。同プラットフォームは、各国政府、企業、国際機関の連携を促進し、経済分野におけるジェンダー・パリティの進展を加速することを目的としています。
2026年の「持続可能な開発インパクト会合(SDIM26)」は、9月21日から24日まで米国ニューヨークで開催。様々な分野や地域から主要なリーダーが集い、共通する機会と課題に対する解決策を前進させます。同会合は、長期的なインパクトの創出および2027年世界経済フォーラム年次総会に向けた機運の醸成に重点を置き、分野横断的な協働による行動を促進します。

