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世界経済フォーラムの新たな調査によると、2050年までに、世界の年金貯蓄上位6カ国(米国、英国、日本、オランダ、カナダ、オーストラリア)が抱える年金ギャップは224兆米ドルに達する。
人口大国の中国とインドを加えると、年金ギャップは400兆米ドルに達すると予測され、現在の世界経済規模の5倍に相当する。
平均寿命が延び、所得に占める貯蓄が引き続き減少するなか、報告書は深刻化する世界的な年金危機に対処するため、5つの提言を示している。
こちらをクリックして、報告書全文をダウンロードしてください。
2017年5月26日、米国、ニューヨーク — 世界経済フォーラムは本日、世界的な年金危機に焦点を当てた報告書『100歳まで生きる——私たちはどう負担するのか?』(We’ll Live to 100 – How Can We Afford It?)を発表した。報告書によると、2050年までに、世界の年金貯蓄上位6カ国(米国、英国、日本、オランダ、カナダ、オーストラリア)が抱える年金ギャップは224兆米ドルに達する。人口大国の中国とインドを加えると、年金ギャップは400兆米ドルに達すると予測され、現在の世界経済規模の5倍に相当する。これは将来世代の暮らしに重い負担をもたらすだけでなく、先進国の年金制度を深刻な危機に陥れる。
報告書は、年金制度の普及が不十分であることと、高齢化の加速が資金ギャップ拡大の主な要因だとしている。危機のリスクを抑えるには、世界と各国のあらゆるレベルで解決策を探る必要がある。報告書では、各国が直面する課題を詳しく分析している。
世界経済フォーラムの金融・インフラシステム部門責任者、マイケル・ドレクスラー(Michael Drexler)は次のように述べた。「平均寿命の延伸と、それに伴う高齢化は、気候変動の影響に匹敵する財政課題です。この課題を特に重視する必要があります。将来の世代に計り知れない負担をもたらすからです。」
本報告書では、世界最大級の年金市場6カ国、すなわち米国、英国、日本、オランダ、カナダ、オーストラリア[1](詳細は付録を参照)を調査対象とした。米国の年金ギャップが最も大きく、資金不足は現在の28兆米ドルから2050年には137兆米ドルへ拡大する。6カ国の一人当たりのギャップは30万米ドルに達する可能性がある。
さらに報告書は、中国とインドの指標にも特に注目している。2015年から2050年にかけて、中国とインドの年金ギャップは年率で最も速く拡大し、それぞれ7%、10%となる。主な理由として、両国の急速な高齢化、非組織部門で働く人の割合の高さ、退職後の所得に対する中産階級の期待の高まりが挙げられている。(下図:年金規模のギャップのイメージ)

経済協力開発機構(OECD)の指針によると、退職後に政府、雇用主、個人の貯蓄から退職前所得の70%を得られれば、退職前の生活水準をおおむね維持できる。
しかし、低所得者にとって年金所得代替率70%では不十分であり、退職後も貯蓄を増やし続けない限り、生活は貧困に陥る。退職者の増加と平均寿命の延伸により、年金ギャップは現在、経済成長を上回る速度で拡大しており、年平均の伸び率は約4~5%に達している。
マーサーのヘルス&ウェルス部門プレジデント、ジャック・グーレ(Jacques Goulet)は次のように述べた。「年金危機に対処するため、私たちは今すぐ行動しなければなりません。しかし、万能の解決策はありません。個人には、貯蓄と金融リテラシーの向上が求められます。政府と企業には、効果的な支援策を提供する必要があります。」
報告書は、政府と政策立案者が年金制度改革で中心的な役割を果たし、100歳まで生きる人が当たり前となる将来の社会に人々が適応できるようにすることが重要だと強調している。そのため、年金制度の課題に対処するための優先施策を5つ提案している。
平均寿命の見通しに応じて標準退職年齢を引き上げる。米国、英国、カナダ、日本など、将来の平均寿命が100歳を超えると予測される国では、2050年までに標準退職年齢を少なくとも70歳とするべきである。
誰もが簡単に利用できる貯蓄手段を提供する。たとえば英国では改革が進められており、2019年から、各人の所得の8%が自動的に年金貯蓄口座に積み立てられる。この取り組みはすでに22~29歳の人々や低所得者の貯蓄増加に役立っている。広く実施されれば、年25億米ドルの年金貯蓄増加が見込まれる。
金融リテラシー教育を支援する。学校から始め、弱い立場にある人々を対象とする。人々の金融リテラシーを高め、貯蓄の重要性に対する認識を向上させる。たとえばシンガポールで実施された中央積立基金制度(CPF LIFE)の広報キャンペーンでは、わかりやすい方法で国の年金制度を人々に紹介した。
国の年金制度を構成する各柱の目的と給付を明確に説明する。これにより、政府制度や職場の制度を通じて得られる所得水準を一人ひとりが理解し、必要に応じて個人貯蓄を積み立て、補完する必要があるかどうかを判断できる。
年金データを統合・標準化し、市民が自らの財務状況を総合的に把握できるようにする。たとえばデンマークでは、オンラインプラットフォームを通じて、さまざまな年金貯蓄口座の状況を総合的に確認できる。
世界経済フォーラムの退職投資システム改革プロジェクト運営委員会委員、ロバート・プリンス(Robert Prince)は次のように述べた。「退職に関する問題の影響は数十年かけて徐々に表面化するため、潜在的な問題はまだ見えにくい。しかし、いったん顕在化すれば、社会と経済に重い負担をもたらし、その影響を覆すことはほぼ不可能です。望ましい成果を得るには、数十年にわたり正しい意思決定を続け、それを効果的に実行する必要があります。」
本報告書は、世界経済フォーラムが、健康、資産、キャリアに関する世界有数のコンサルティング会社であるマーサーと共同で作成した。『退職ガイド』では、退職制度改革の12の事例を詳しく紹介しており、本報告書を補完する内容となっている。ダウンロードするには、こちらをクリックしてください。
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付録
世界的な視点を可能な限り反映するため、この分析には8カ国を含めた。OECD加盟国のうち年金基金の総投資額が最も大きい6カ国と、人口が最も多い2カ国である。年金資産の規模だけを見ると、フランス、ドイツ、イタリアは年金制度上位6カ国に含まれない。フランスとドイツでは、年金債務に対して一般に積立資産がない。たとえばドイツでは、多くの雇用主が帳簿上の準備金を年金の原資としている(社内資産を年金制度に割り当て、貸借対照表に計上する方法)。ノルウェー政府年金基金は、拠出型ではないため、通常の年金制度とはみなされない。
報告書では、年金ギャップの規模の算出方法とデータソースを詳しく説明している。
以下の点に留意されたい。
- この分析では、大多数の人の退職後のニーズは、政府が提供する年金、雇用主(公共部門または民間部門)の年金、個人貯蓄という3つの所得源によって満たされると仮定している。
- この分析では、政府が提供する第1の柱の制度や公務員制度の積立水準、雇用主の制度による給付、個人の年金貯蓄水準など、公開済みのデータを使用している。これらの貯蓄の総水準を、年平均の退職所得ニーズおよび平均余命と比較している。
- 家計債務の総水準は分析に含めていない。
- 現在、退職年齢を60~70歳と定める世界的な慣行は引き続き有効であり、個人は就労期間を延長しないと仮定している。
- 個人貯蓄については、退職者が強制的な公的制度から所得を得ることを前提に、退職前所得の70%を確保するには、その所得を補う必要があると仮定している。この70%という所得代替率の指標はOECDの指針に沿ったものである。
- 個人の年金資産を検討するにあたり、この調査は貯蓄の大部分を富裕層が保有していることを示している。分析では、OECDが提供する富の不平等に関するデータに基づき、最も富裕な10%の人々が保有する資産を除外した。
強制的な年金制度からの所得が、標準的な退職時の給与の70%を超える場合、個人貯蓄のギャップはゼロと仮定している。
この分析では、賃金インフレと人口増加の可能性を考慮している。