ドローンが社会に貢献する、3つの活躍の場
ドローンはまたたく間に、多様な領域で活用され始めています。 Image: Unsplash/Andreas Psaltis
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ドローン
- ドローンは、サプライチェーンの一般的な機能として急速に普及しつつあります。
- 医師たちは、世界でも辺境の地にいる患者のもとへ、ドローンを飛ばして医薬品やワクチンを届けています。
- 農業従事者はドローンを使って、空から農作物の様子を確認しています。
- 最新のドローンの中には、マルハナバチ程度の大きさのものもあり、捜索や救助活動への利用も考えられます。
新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)をきっかけに、ドローン各社はドローンの新たな用途の開発を急いでいます。アフリカでワクチンを運んだり、ロックダウン(都市封鎖)で外出できない家庭に消費財を届けたりするなどの活用法です。
ドローンは、サプライチェーンの一般的な機能として急速に普及しつつあります。
ドローン運用会社は、最大500キログラムまでの重量物を輸送できる重量空輸システムを開発しています。このようなドローンは物資の種類によっては、ヘリコプター、トラック、フェリーより高い効率と費用効果が期待できると、システムの提案者はコメントしています。
ドローンによる物資輸送は、食料品、医薬品、工業用物資の配達を容易にし、主要交通網から遠く離れた地域に生活する人々には、朗報となるでしょう。交通の便に優れた国々でも、山岳部や砂漠地域に暮らす人々のための重量物空輸ドローンの活用には、高い関心が寄せられています。
ここでは、ドローンの更なる活用のために取り組んでいる3つの企業を紹介します。
1. ヘルスケアを届けるドローン
大きな躍進のひとつに、ヘルスケア分野への応用があります。ドローンによる医療品配送企業である米ジップライン社(Zipline)は、ルワンダとガーナの農村部に住む人々へ、ドローンを使って医療物資を配送してきました。同社の軽量ドローンは、その物流拠点から最高85キロメートル離れた診療所まで医療物資を配送できるため、輸送時間を短縮し、血液などの腐敗しやすい物資は、使用期限切れになる前に必要な場所に届けられます。
ガーナでは、ジップライン社システムの導入により、新型コロナウイルス感染拡大防止への取り組みが速やかに支援され、わずか3日間で1回目ワクチン供給量の13%が届けられました。
CNBC(コンシューマー・ニュース・アンド・ビジネス・チャンネル)のリポートによれば、米国では、ジップライン社は小売り大手のウォルマート(Walmart)との提携の一環として、ヘルスケア・健康関連商品を消費者へ直接宅配しています。米国・アーカンソー州のピーリッジでは、住民はヘルスケア商品をオンラインで注文でき、その日のうちにドローンで届けてもらうことができます。
日本でもこのような発想が軌道に乗っています。 ジップライン社は九州にある五島列島の薬局や診療所にドローンで医療物資を配送しています。同社CEO(最高経営責任者)のケラー・リナウド(Keller Rinaudo)氏は、「ヘルスケア製品の宅配は、パンデミックへの対応方法、患者の治療方法などを、完全に変えることができるのです」とコメントしています。
2. 農作物調査用ドローン
ドローンが大きな変化をもたらしているのは、ヘルスケア分野だけではありません。農業従事者は農業現代化の一環として、空中にドローンを飛ばしています。オランダのコーバス・ドローンズ(Corvus Drones)社は、苗木から収穫物まで農作物を監視できるシステムを開発しました。これは、農業従事者が手作業で農作物を検査する代わりにドローンが上空を常に飛び回り、葉の大きさやそれぞれの成長段階をチェックし、害虫発生を早めに知らせるというものです。
同社のドローンにはさまざまなセンサーやカメラが搭載できるため、多様な農作物の監視に活用できます。ドローンが温室内を飛び回りながら収集したデータは、表やグラフの形で農業従事者のメールボックスに送信されます。データから、農作物の成長状況、病気やストレスの兆候の有無などを知ることができます。
ドローンによる測定は、人間による目視検査に比べて数倍高い精度と安定性を備え、空中監視を活用することで、農業従事者の作業時間を大幅に短縮できる、と同社はコメントしています。
3. 昆虫サイズのドローン
重量物空輸ドローンは大型物の輸送に真価を発揮しますが、小型のドローンにも優れた有用性があります。マサチューセッツ工科大学(MIT)のケビン・ユフェン・チェン(Kevin Yufeng Chen)助教授は、従来の設計品では到達不可能な領域に到達できる、小型の昆虫サイズドローンを開発しました。
この小型ドローンはわずか0.6グラム、マルハナバチ程度の重量です。カーボンナノチューブ技術を使い、「羽根」を毎秒約500回羽ばたかせることができます。将来、この小型ロボットを使って農作物の授粉や、機械類の内部検査などができることをチェン氏は期待しています。チェン氏はMITニュースで次のようにコメントしています。「タービンエンジンの検査を想像してください。[閉じられた空間に]ドローンを飛ばすことで、小型カメラでタービンプレートの亀裂を確認できるのです」
ハチサイズのドローンは、人命救助にも役立ちそうです。いつの日か、災害後の救助活動に活用され、大型ドローンでは到達できない場所の死傷者を捜索できるようになるのかもしれません。
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